母子家庭支援を考える
母子世帯への「自立支援」と援助のあり方を考える分科会へ参加して
母子世帯にとってのセーフティーネットとはなにか? どう構築するか?
1、 母子世帯に対する所得保障政策とは
「母子家庭等自立支援対策大綱」が厚生労働省により策定される。(2002年)
そのねらいは、所得保障型政策から「就労による自立促進」を主眼とする政策への転換である。
母子世帯の平均所得の構成割合をみても稼動収入が低位なため、それを補完する所得保障は重要になる。
2、 「母子加算」の導入時の議論経過
生活保護制度に「母子加算」を導入することを1949年に検討する(厚生省児童局)
母子加算導入の際には、「乳幼児を抱えた母親として一番大切なことは乳幼児を養育することではなかろうか。生活保護のやり方も母親をして乳幼児の養育に専念することを可能ならしめるような方法で行われるべきではあるまいか。母親にとって第一義的な任務である乳幼児の養育を差し置いてむやみに働くことを奨励、あるいは強制する現在の方針は考え直す必要がある」という議論があった。
1969年の監査方針では「保護基準については、従来稼動しうる層の自立助長に重点配慮が行われてきたが、今後は老人、身障者、母子世帯についても考慮することが必要」と考えが示された。1970年代中ごろまで、母子世帯は「社会的弱者」「要看護ケース」として位置付けられ、母子世帯の育児は社会的制約として認容されていた。
3、 1981年123号通知がだされた。
1982年の監査方針の事項のなかに、母子世帯は「稼動能力層のいるケース」に位置付けられる。
1996年「財政構造白書」では児童扶養手当が就労の妨げになっているという意見だされる。
1998年には児童手当は「必要性の高い世帯への給付を重点化」するという観点から所得制限がされる。
4、 日本の母子世帯は高就労率
高就労率を維持しているにもかかわらず、他世帯との所得格差は拡大している問題。
就労率は85%前後から90%までの間で安定的に推移している。このことから、就労率が低いから所得格差の要因とは言いがたい。日本の母子世帯は働きながらも貧しいという状況があり、最近はその傾向がより強まっている。
母子世帯は高水準を維持している。また、親族等の援助もうけており、自助努力はもう限界にきている。
5、 母子世帯の現状から問題提起し、政策の方向性を検討すること。
親と子が十分にかかわる権利を保障すること
高等学校への進学の重要性。
父子世帯は就労支援政策の対象から除外されている。また、福祉政策の対象からも除外されてきた側面が強い。
今、国は生活保護制度における「母子加算」の完全廃止に進んでいます。 廃止しなければならない根拠について現在は生活保護制度を受けていない母子家庭より母子加算を受けている家庭は「自助努力」が足りない、だから加算制度はいらないと言っていると解釈できます。
しかし、現実はどうでしょうか?
生活保護制度の中では稼動年齢層とされる子育て世代は申請が受理されるまでが大変なのが実態です。本来は実態にそくし受けやすい制度でなければならなりませんが、その入り口じたいを厳しくしてきた経過から、ますます子育て世代は大変な環境になっています。
「母子加算」の必要性の有無を議論してきた当時から見たら現在の議論の中身は単純すぎると思います。
お金、予算がないから生活保護制度基準の本体の後退をさせ、ましてや「老齢加算」「母子加算」などを切り捨てるやり方は憲法の精神から大きく外れる問題だと思います。
儲けていても大企業には減税を続けても、苦しんでいる国民から社会保障制度を奪い苦しみに増大させている国のお金の使いかたこそ変えなくてはなりません。
憲法を力にこの制度を守る闘いを大きくして行きましょう!
今多くの方のご意見やご要望をお聞きしています。声をかけてくださいね。
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