« June 2008 | Main | August 2008 »

2008.07.24

 京都で都市計画学ぶ・出張報告

2008年7月19・20日 京都にて
 テーマ:建築紛争から21世紀の都市づくりを考える

1、建築紛争問題について

全国各地の建築紛争問題の現状と対策についての報告と議論が出されました。高知市の現状についての報告も3分程時間を頂きおこなってきました。高知城の歴史文化財指定区域の中になっている土地が都市計画では建設が可能ということで、高さ規制28mがされているものの、ぎりぎりいっぱいの28mの高層マンションが計画されている問題や児童福祉法にもとづく高知市の児童遊園の真南に40mの高層マンションが建設される計画が進み、年中を通して太陽が当たらない公園になってしまう問題を抱えていることを報告すると、会場から驚きの声がいくつも上がりました。あまりにも無秩序な利益優先のマンション建設、デベロッパーのあり方が問題だと言うことは全国共通のものだと改めて学びました。

①沖縄の実態から

 那覇市の元市役所予定地に136m34階の高層マンションの計画が出された問題について問題点がいくつか報告されました。
市民は当然、公用地として利用されると信じていたが那覇市は地域再生計画の事業をすることとして、公用地の売却を可能にしました。その後、近隣住民との協議もなく那覇市長は民間のマンション建設業者(デベロッパー)に売却しました。また、土地の用途地域を業者の都合にあわせ第二種住居地域から近隣商業地域へ変更し土地の価格を大幅に高めた一方で、少なくとも50億円安く売却しました。このことは景観と住環境も含め市民の財産を犠牲にしたとし、訴訟がおきています。
 首里城より高く、歴史や文化を壊す、県の観光、経済の発展にも大きな損害を与えるものです。住民への説明もされてないに等しい状況は重大な問題です。行政の透明性と住民との協同のまちづくりにおいての大事な根幹を無視しているもので、行政の姿勢が問われなければならないと思いました。

2、国の法律改正への取り組み
 国の都市計画法の改定をめぐる情勢について、法政大学教授の五十嵐先生から、12月中に改定案が、半年後にパブリックコメントを行い、再来年決定の予定で国が動き始めたとの話がありました。抜本的改定になるか、さみだれ的改定になるか・・・現状ではさみだれの公算が強いとの問題点も指摘をされました。東京都と地方の違いやゾーニング制の問題、都市が縮小(コンパクトシテイー)の流れのなかでどう考え、どうしていけばいいのかなど貴重な話が聞けました。例えば、既得権益にどう規制をかけるのか、都市計画は公共工事が減少していくなかでメンテナンスすることを考えることなど出されました。また、
  今回の「景観と住環境を考える全国ネットワーク」という全国組織の結成をきに、国の法改正への取り組みとして、対案をもって国会に意見書、請願署名をあげていくこと、建築基準法の改定や各自治体の条例づくりにも取組むことも確認されました。


 
3、自治体条例の状況について

①2007年・京都の新景観政策について

 京都はS70年代から景観破壊がはじまったといわれています。1982年にサミットがくることが口実に景観破壊の建設が急激に進んでいます。1988年代には町内会単位で「まちづくり憲章」の運動が起こり始めます。1994年に京都が世界遺産になりました。2004年に国が景観法をつくり、その中で国が京都をこのままにしてはいけないとして、国から職員も派遣し、住民主導というより国主導のような環境の中で現在の新景観政策ができたといいます。
 新景観政策とは、高さ規制だけでなくたとえば、高度100mの船岡山を眺望起点とし五山送り火の「大文字」「舟形」「妙法」が眺望できるゾーン規制(風致地区指定)をしています。他にもポイントをもうけ複合的に規制をしています。

②新景観政策のきっかけと建築審査会

 新景観政策ができたきっかけは世界遺産だからとか文化財が多いとか国が進めるとがだけでもありません。実際に高知や全国で起きている高層建築による紛争が多発しているも背景にはあります。建築紛争となれば、裁判もおきますが、各自治体に設置されている建築行政不服審査会でも審議される事になります。新景観政策のできた理由のひとつには京都の建築行政不服審査会で高層マンション建設の問題に対し、住民申請を却下しましたが、画期的な「付言」を表明したことがあります。「この建築計画が京都が進める都市景観、町並み保存、そのための建築協定などを無意味にするほど規模・形態がふさわしくないとします。そしてこの地域は歴史的に形成されてきたところで、伝統的な町家や町並みが数多く現存する職住共存地区だと規定し、この建築物が地域とは異質なもの・・・」、公共性の点では、このような敷地の建築計画は、住民の意向に耳を傾け、都市計画・町並み・住環境に十分に配慮した計画が求められるとし、大企業の公共性に対する自覚と責任を指摘しています。最後にまちづくりの見直しの点では、このような建築物を規制できないようでは、京都市の進める「まちづくり」は根底から破壊される危機をはらんでいるとし、歴史都市としての京都の保存・発展に市民の英知を結集して対策を打ち出すべき時だとしめくくっています。この付言の効果が政策へといかされたわけです。


4、高知市の都市計画、「まちづくり」を考える

 全国の関係者の方との意見交換は大変勉強になりました。地方と都会との条件の違いもありますが、共通して利益のための環境、景観破壊の開発は規制する必要性があるという点は地方で活動しているものにとって心強いネットワークができたと感じました。研究者、弁護士、建築士、など専門分野の方々の話も国の法改正の必要性を事例や対案をもって示されとても勉強になりました。
 今後の国の動向も見据えながら、分権時代のいち自治体としてまちづくりを考えていこうとおもいました。住民の合意形成、住環境、景観、歴史文化の大切さをこれからも学び、活かしていきたいと思っています。

| | Comments (0) | TrackBack (2)

2008.07.04

自由民権記念館の民間委託を考える!

 ~アウトソーシング問題について~

 自由民権記念館の民間委託(指定管理)について

 6月21日、桟橋にある自由民権記念館を会場に、自由民権記念館を指定管理にするための説明会が開かれました。一階の会議室は関係者や友の会の皆さんの参加で満席でした。

 執行部の説明
  アウトソーシング推進計画の基本的な考え方
 

 平成19年度から3ヵ年で190億円の収支不足(H20・21で100億円不足)による危機的な財政状況となり、その改善のために徹底した行財政改革によるが必要。改革の手法として①事務事業の見直し②市税収入を上げる③職員の定数減(給与減らす)ことと考えている。
 (財政危機の要因)
 危機的財政状況に陥った理由についての説明では「国の三位一体改革の流れの中で将来をよむことが難しかった。例えば国の交付税60億円が見込めなかったり・・・」との説明がされました。

「市民サービスは低下をさせない!」手法とは?! 
 市の考え方では「現在の市民サービスの低下はさせない」を基本に置くとし、その上でアウトソーシングの手法を考えるとしています。その手法とは、①民営化・・行政がしなくても民間企業などによる同様のサービスの提供が可能となるもの ②統廃合及び一部民営化・・民間企業などによる同様のサービスの提供が可能になるが一定部分・範囲については行政が担う必要があるもの。 ③指定管理者制度・・行政が公の施設として維持していくが指定管理者に管理・運営を委ねることによって経費の削減やサービスの向上をはかる。と説明をしています。
 今回の自由民権記念館は指定管理者制度で対応していきたいとのことですが、自由民権記念館は博物館などと同様に採算が合わないからといって利用料が高くなったり、案内、説明をやめたりなんてことができる性質のものではありません。特に学芸員などの人材確保や人材育成もしなければなりませんし、高知の文化を伝える場としての役割や教育という部分でも将来にわたって長期的な視点で取組んでいかなくてはならない大事な施設です。目先のコスト削減論では、はかれないところだと思います。

 コスト削減効果は500万円
 今回の指定管理者制度でのコスト削減を行なう以前に自由民権記念館の管理運営費はすでに削減の努力を行なってきています。例えは、年間に資料代が1,000万円ほど必要なところを300万円にも押させてきました。関係者の方からも「サービスの質を維持をしながらコスト削減を行なってきたが、もう限界の努力をしている」との意見も出されました。その上に今回のアウトソーシングは指定管理者制度にすることで500万円のコスト減をするという提案です。質を担保し今よりコストを削減するということは人件費を削らなければなりません。
 
 民間団体も疑問視! 
 説明会には受託業者として色んな委託事業の入札に関わってきた関係者も参加していましたが、『現在のサービスや文化施設のレベルを維持していいきながらコスト削減を行なうとしたら人件費を削ることになるが、果たしてそれで質が保てるのか業者としても心配だ』との意見も出されました。

世界的評価の高い自由民権記念館! 
 友の会の会員としてこれまで自由民権記念館の活動を支え支援してきた方達からは世界の博物館の中でも評価が高い。そして全国の民権館のなかでも評価が高く、高知は中心的な役割を果たしている館、果たしていかなくてはならない館だとの意見が相次ぎだされました。
 例えば、韓国では学生の人格形成の場として博物館など文化施設を位置付けて教育政策として積極的に活用している。ある専門家の方は高知の歴史を高知の人が知らないそんな時代を作ってはならない。学芸・芸術の基礎研究能力があるからこそ、色んな文献が整理でき坂本竜馬も世に出て行くきっかけになっている。このことが現在の高知の観光にもつながっている。増収を考えるならこういう館や人材の育成に今以上に力をいれ、学校教育の中でも活用し、発展させることが大事ではないか!など貴重な意見がだされました。

財政再建至上主義ではない「志」をもった考え方が必要ではないでしょうか
 

 

| | Comments (0) | TrackBack (2)

« June 2008 | Main | August 2008 »