景観と住環境を考える全国集会in福岡
出張報告
11月15日(土) 会場:福岡商工会議所
「第2回景観と住環境を考える全国ネットワーク全国集会」へ参加
★ 現地視察 11:30~景勝台
①景勝台といわれる地域で現場視察を行ないました。
150世帯ほどの団地ですが「景勝台」名前のごとく眺望の素晴らしさが魅力
でしたが高層マンションの建設によってこれまで海が見えていた景観は台無しです。
ここでは住民が景観利益を主張し裁判を起こしましたが建設を差し止めすること
はできませんでした。土地の価格に大きな損失を与える問題に対して業者は50万
程配って回ったそうですが住民は納得していません。
②愛宕町という埋立地でも
福岡市の都市計画にもとづく埋め立て低層の宅地開発がなされましたが住民への
説明・合意確認を取らないまま計画変更を行い高層マンションが建設を行なった為
に計画変更を認めた行政、業者を相手に裁判が行なわれています。
*同行した弁護士からは高層マンション建設を行なう企業(デベロッパー)の目的は投資、儲けである。この投資マネーが高層マンション建設の根本にあるという話がありました。
★ 第一部12:00~ 基調報告
日置雅張晴・弁護士「なぜ日本で建築紛争がおきるのか?」
先生の話を聞いて問題点をまとめました。
①建築基準法の問題について
建築基準法とは、建築行為における「最低基準」である。だからこれさえ守っていればいいという考え方がこれまでの社会的認識度となっていることについて、建築紛争が起きる背景、原因との関係を考えるうえで、大変大事な指摘がなされました。地域には歴史があり、居住環境、価値観も様々ですから建築基準法=「最低基準」この1つのルールでは人口や地域固有の歴史、文化、景観は守れないということです。また、核となるもの例えばお城などがあって守るのが景観を守るという考え方もあるがこれたけでは普通多くの家は守れない。だからこそローカルルール(地域別のルール)が必要になってくる。
② 「景観利益」という新たな価値観について
景観利益で本当に争えるのか?と問題についてはこれまでの裁判の事例からは役にたったとはまだ言いがたいが、・・年、国立市での民事裁判が行なわれた時、「景観利益」という観点が最高裁認められたことが大きな前進となりました。また、広島のともの浦では行政訴訟となりましたが訴訟根拠として「景観利益」が認められました。このような結果、各地の条例化につながっています。司法との関係では「景観利益」という考え方が認められたのは意義ある到達点です。最高裁のレベルというのかハードルが高い現状(20~40年かかってやっと前進するような状況)では、現実の問題に対して遅すぎます。これからの行政の中に「景観利益」という考え方を持たせる住民の世論づくりが大きな課題となるとおもいます。
③ 景観法について
04年景観法が出来ました。法に基づく景観計画が各自治体で作られています。この景観法が実際、高層マンションなどに対して効果を発揮しているかというと不完全な法だということです。例えば、高さ規制についてルールがありません。しかし、景観計画や条例のなかで自治体の判断によって高度規制が出来てきています。このようなローカルルールがないから民事裁判訴訟で救済を求めるという問題をつくっている。しかし、生活妨害だと認める裁判官もでてきており差し止め事例も起きています。この流れの中で「景観利益」というものを科学的な知見をもった評価する仕組みが必要になってきています。
④景観条例について
各地方自治体で取りいえられてきています。京都は1972年の条例を前進させた「新景観条例」(高さ、眺望など含めたルール)を07年に制定しました。特定街区だとして本体の高さ制限のをやぶり建築する問題に対して条例によって防ぐことが出来ています。やり方としては色々ある。例えば、高さを超える場合にはセットバックを条件とするやお店と家を一緒に建てる場合は一定の容積を認めるなどです。
⑤デベロッパーが求める建築
マンションを建売したい業者が求める建築とは?建築士はまず、容積のボリュームを最大限確保すことを求められます。もちろん法の範囲内でコストが出来るだけかからないのもです。また南向きで日あたりのよいことも条件とされ、法律の許されるぎりぎりのことを要求される。容積が決まってから住民説明を行なっているため、容積を変えることはほとんどない。容積をかえない変更はある、高さを低くしたとしたら横に長くするなど・・。
⑥ 世界の建築に対する社会的レベル
例えばヨーロッパの街並みがこうして高い評価を受けるのも1870年代から高さ規制があったといわれています。日照権についても都市計画の中でルールがあるのでトラブルは起きないしくみとなているといいます。「景観利益」という価値観、概念が古い当時から大事にされ、ルール化されています。
*自分たちの土地の用途区分は知らないと後々トラブルに・・。
*行政主導のまちづくりから住民が主体的に参加、提案するまちづくりへ
Comments
文京区小石川2丁目の4700 ?(1360坪)の土地に、巨大マンションの建設計画が進められ、堀坂の道路拡幅を含む開発工事のために、六角坂の一方通行の逆走が計画されています。
しかし、堀坂の開発と六角坂の一方通行の逆走は、通勤・通学路である六角坂、堀坂の安全な通行をおびやかし、しかも開発計画は4年間もの長期間に及んでいます。
そこで、通学や生活の安全のために、学童生徒の保護者の有志によって、「堀坂・六角坂の開発に関する要望」の署名集めがされております。
Posted by: 『ご近所力で地域の未来を』より転載――堀坂、六角坂の開発 | 2010.07.10 04:25 PM