親子の現場
親も子もギリギリの時代に・・・思うこと
子育て世代からの相談が多くなったと感じる。
今日も電話がなった。
「愛ちゃん、どこの保育園がいい?」
単身赴任している夫の両親と同居して、8ヶ月の子どもを保育園に預けて彼女は仕事復帰するという。
私は「おめでとう!」といった。だって一人ぼっちで子育てをしている、ひとり親家庭をたくさん見てきたから・・。
彼女も仕事復帰が決まるまで、仕事でめったに夫は帰ってこないから、アパートの中でひとりで赤ちゃんを見ていた。
彼女は弱音をはかないのである。その姿が心配だった。
その彼女が夫の両親との同居するいったから、なんだかうれしかった。
私自身、同居の経験がないから彼女が思っている同居への不安やきずかいの大変さ・・すべてをわかってあげることが出来ないが、孤独な子育てから、うまれて来る様々な問題を体験も含めて、仕事柄見てきたから、・・。
「人間形成が危機」とまで言われている情勢がある。過度な競争や貧困が他者への攻撃、自分自身の否定へともなっている。家庭崩壊、家庭内暴力、虐待、いじめ、パワハラ、セクハラ、
異常なストレスの中で色んな形で噴出している・・。
突然、夫を亡くし二人の子どもを抱え働き始めたお母さんがたずねてきた。
かなりのプレッシャーの中で生活していたのだと思った。
「一生懸命やっているんですが、不登校になった子ども・・」
お母さんの目からどっと涙が出てきた。
「こんなところで泣いてすみません」と謝られた。
私も泣いた、一緒に泣いた。
「謝ることないですよ。今までひとりでがんばりましたね。今度からは気軽になんでも話して欲しい」と色々話した。
ちいちゃい下の子が大人の二人を黙って見ていた。
お母さんは子どもの頭を強く、いっぱい、いっぱいなでていた。
本当はお母さんがして欲しいことだと思う。
突然、夫を亡くし、すべてを受け止め抱きしめてくれるはずの人がいない。
とても不安で、さみしかったと思う。
子育てはひとりでできないとつくづく思う。関係が夫でなくても妻でなくて良き理解者が必要だと・・・。
実の子であっても子どもと向き合うことは難しい。
ある本にフランスの教育哲学者のジョルジュ・スニーデルの話が紹介されいて
『わが子を愛するのはたやすいことではない』とある。
「わが子に抱く愛を偉大なものにしょうと私は固く心に決めていた。ところが、実際には神経は擦り切れ、疲労困憊し、一種の侵食作用が起きたのである。・・・子どもにとって騒いだり動いたりすることが必要なのはわかる。かといって、私には静かなほうが良いことには変わりない。ささいなことや、小さなできごとや、ちょっとした行き違いのたびに摩擦が絶えない。・・・・それほどに違う人間、それほどに違う欲望をもった人間どうしが、このようにしてともに時間を過ごすのである。どうしたら笑みを浮かべて衝撃に耐えることができるだろうか。」とある。
人間形成期の子どものへの影響を思えば、親も子も無条件の優しさに包まれなければならないと思う。
夫の両親との同居を決めた彼女に「子育てはひとりじゃないからね」エールを送ります。 愛より
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