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2010.12.20

鮪漁船

 来春、1月29日に愛宕劇場で映画「蟹工船」が一日限りで上映されます。
 俳優は松田龍平さん、大杉連さん、森本レオさん、TKOさんなどが出演されています。
見出しには 「驚異の大ヒット!再燃ベストセラー」とある。今から80年前に小林多喜二が書いた小説がブームを起こしていることは何回かブログでも紹介してきました。映画化を望むと・・。
 ついに映画化されたのです。しかし高知の映画館では上映されなかったので、今回の愛宕劇場での上映会をすごく楽しみにしています。
 今回は「蟹工船」の事ではなくて「鮪漁船」(マグロ)について書きたいと思いました。
 24歳から50歳までマグロ漁船に乗って世界中の海を回ったという男性が国保の保険証がなく、困っていると訪ねてきた。その方を「おんちゃん」と呼ばしてもらいますが、マグロを追っての船員生活は本当に大変だったといいます。
 平均年齢30代40代のマグロ船の定員は21人です。その内日本人は3人、4人 残りの船員はインドネシアなどの安い賃金で雇われた外国人と一緒に働く。 船の上では喧嘩が絶えない。 日本人と外国人の船員同士も喧嘩になるという。殴り合い、包丁も出てくるのは日常茶飯事の世界。船に乗ったら逃げ場はない。精神的にも過酷で気がおかしくなってしまう仲間もいた。海に身を投げた者も他の船であったという。 (小説「蟹工船」でも確か自らが身を投げた人はでて来なかったと思うが、過酷)
 船の上では船頭と呼ばれる人が一番偉いく、マグロ漁の作戦全てを決め責任をもつ。次に船長が偉く、操縦をする。衛官と呼ばれる人が医者の代わりとなり、怪我の処置をしてくれる。コックもいる。無線士の局長。大体このメンバーは日本人。その他は甲板で漁をする。 おんちゃんはその貴重な船員のひとり。 喧嘩が嫌いでやさしいおんちゃんは外国人の船員仲間に慕われていたと、私に話す。
 
ケープタウン、ヨハネス、アンゴラ、ルアンダ、フリーマント、ポートエリザベス、パナマ、ウエリントン、トロント、ホバートなどなど世界各国の港に行った。言葉は「ウオータープリーズ」お水ください、英語で会話する。引退した今もおんちゃんは英語が話せる。 当時、おんちゃんは港に着いたら、酒が一滴も飲めないのに酒場に仲間と行くという。そこでも、世界から集まったそれぞれの船に乗っている船員同士が喧嘩をする。おんちゃんの話によると原因は女性の取り合いみたい。  英語が話せるおんちゃんは女性にもてたと言っていた。ほんとかな?(笑) だっておんちゃんは今も独身だ。 
  月13万円ぐらいの給料、日本に帰って来れるのは一年の内、一ヶ月ぐらいで短いときは10日の時もあった様。
一日12時間労働、はえなわ漁法でマグロを釣るが、「波は山のごとし」 海がしけってくると山の様な波に飲み込まれそうになる。その度、船長が危険を知らせる為にブザーをならす。船員は投げ出されないように防御する。一度海に投げ出されたら命はない。マグロに引き込まれ海に消えていった仲間もいた。
 漁が終わり帰って来るが手元に残る給料は一年以上船に乗っているのに100万円程、多く残った時が230万円ぐらいだったという。この貯金ではすぐ生活費に消える。 だから、また次のマグロ船にのらないといけない。
 船員専門の店があるという。高知市にもある、そこでカップめんやお菓子など、必要品買い込む専門店らしい。そこでは船員の斡旋もしている。日本にはマグロ船がいくつもあって、おんちゃんは北海道の船にも宮城の船にも いろんな所の船に乗って漁をしてきたと話してくれた。 
  
 モテるおんちゃんはブラジルの女性に結婚して欲しいと初めてプロポーズされたらしい。 ブラジルの彼女を迎えに行くために、おんちゃんは大韓航空にのり乗り継いで、やっとブラジルに着いたが、彼女はイタリアに行ったと言われ、がく然!彼女はイタリアの人と結婚して行ったと聞かされ、呆然となる。
 しかし、おんちゃんは諦めない 一週間ブラジルのレシフエと言う町にいた。そこで19歳の可愛い女の子が、おんちゃんと一緒になりたいと言ってきたらしい。 おんちゃんは新しい彼女と日本で暮らすと約束して、先に日本に帰り、彼女が日本に来るためのチケットのお金を送って彼女が来るのを待っていた。やっと彼女が日本に来る、迎えにいったおんちゃんはまたもや、がく然となる! なんと19歳の彼女には2歳の子どもがいた。 しかし、やさしいおんちゃんは、商店街でお人形を2歳の女の子にプレゼントし、日曜市にも連れていき、春野の運動公園にも3人で遊びにいった。おんちゃんは彼女とその子どもと暮らしていた。  ブラジルは英語ではなく、ポルトガル語。やさしいおんちゃんは、ポルトガル語の本を買ってきて、彼女のとのコミニューケーションに努力を重ねていた・・・。
 しかし、冬がやってくる頃、彼女に「日本、寒いから帰りたい」と言われた。 彼女との生活は一ヶ月半となった。 おんちゃんは引き止めなかった。涙をまた流した・・。お酒が飲めないので、パチンコに走った。
 世界中を見てきた、おんちゃんの一番の思い出は何?と聞くと、今でも「ブラジルの女」という。次がアルゼンチンがいいらしいです。   マグロ漁より、ブラジルの女性が素敵だったと・・・。
 過酷なマグロ漁・・・。  政府の方針によって、マグロ船は減船された。 おんちゃんが乗るはずの船が、その対象だった。その日をもって、退職した。 
 おんちゃんは今バイクに乗って高知市を走っている。たまに釣りにも行く。 けど、相変わらずおんちゃんは独身だ。 でも、おんちゃんの最大の悩みは「国保が高い」ということ。 先日、おんちゃんと窓口に行き、保険証がやっと発行された。 しかし この保険証は3月末で切れる。  国保制度の改善、負担軽減を求める署名をお願いして、書いてくれた。 その時おんちゃんが言う 「陸で暮らすのも大変だ」と・・・。
 おんちゃんとも力を合わせて署名に頑張ります。 おんちゃん!「オブリガート」。あいより
 ポルトガル語でありがとうの意味。

                         

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