インドネシア・シンガポール訪問記
スラバヤよさこいと行政視察
姉妹都市提携15周年、よさこい鳴子踊りがスラバヤ市でフェステイバルとなってから10年目の節目の年、公式訪問団として参加。
スラバヤ市はインドネシアの東ジャワ州パチタン県の中にある州都。人口は年々増えており約300万人が在住、昼間は周辺から働きにくる人が増えるため人口が500万人になるそうです。
産業の中心は貿易や工場誘致などによる商工工業の都市です。現在はスラバヤの基幹港となっている、タンジュン・ペラ港の拡張工事を行っているそうです。一般貨物の年間平均は約3000万トン、コンテナの取り扱いはうなぎのぼりの状況だそうです。港を通しての国際ネットワーク組織・INAPに高知港も加盟しており、ペラ港をはじめスリランカ、中国、フイリピンの各港との流通・交流が強まっています。今後は高知との経済交流も高めて行きたいそうです。
スラバヤ市長はトリ・シスマハリニ女性市長。元スラバヤ市役所職員として勤め、都市開発部長や清掃公園部長を歴任後、選挙で市長に当選しています。都市整備や環境部門に精通されており、この間インフラ整備や清掃事業、衛生環境整備に取り組まれています。以前に比べ、町がきれいになっている変化。初参加の私でも驚くほど清掃に力を入れています。例えば、道路にある標識ポールをユニホームを着た方が拭き掃除をしていますし、スラバヤよさこいの会場でも常時2名の方が演舞の合いまごとに掃き掃除していました。雇用にも繋がっていました。また、教育、人材育成に力を入れているため公務員の中で教員の比率の高さにも驚きます。
「スラバヤよさこい」は文化と教育の交流の一環として取り組まれてきた。市内の学校ではよさこい部が出来きるなど市あげており、熱心な取り組みが行われています。その成果としてよさこい踊りのレベルも毎年上がっているとのこと。審査員として岡崎高知市長、西山姉妹都市交流団会長、深瀬市議会副議長が採点。今回は38チーム1000人を越える若者たちが演舞しました。現地の伝統舞踊にレモ踊りがありますが、多くの子ども達はレモ踊りを小さい時から踊っているので、リズム感が本当良くて驚きます。優勝したのは日本企業の矢崎総業です。現地の労働者たちで作られたチームです。本当にすばらしいよさこい踊りでした。
15周年の祝賀会が市長公邸で開かれ、公式訪問団、経済交流団も参加しました。経済の発展中であり、トリ市長は今後、観光分野にも力を入れたい、ホテルなど宿泊施設の増設が急務になっていると話されていました。
日本企業視察・研修
「高知県シンガポール事務所」
「矢崎創業」
「技研製作所」
「ジャワポス社」
「インドネシア総領事館」
「クレアシンガーポール事務所」
「国立図書館」
まず、初日に高知県のシンガポール事務所
地産外商の活動報告やシンガポールの歴史を含め情勢の説明をうけました。シンガポールには約2万4千人の日本人、734社の日本企業があるそうです。シンガポール事務所管内で事業している県内企業はニッポン高度紙工業、技研製作所、東洋電化工業、チカミミルテック、土佐電子、マルキなどです。事業の内容は65%が輸出、20%が輸入、5%新規進出案件、10%がINAPなどです。輸出事業では高知県産の柚子の販路拡大に力を入れているようです。アジア諸国だけでなく今後はオーストラリアへの拡大も確実にしていきたいとの事。商談会では高知県ブースで北川村の柚子が売れている様です。ジュースメーカーが9トンから14トンへ増えるなど買い取りも年間で約20トン規模の取引に繋がっているそうです。
次に矢崎総業株式会社のスラバヤ工場(SAI)を視察しました。
生産品は車の部品のワイヤーハーネスです。現在、3000人の現地雇用が生まれ、労働組合も組織されストライキの結果、賃金や処遇が改善されているそうです。しかし、工員の一日の賃金は400円です。日本企業が安い労働力を求めて海外進出していることがよくわかります。働いている工員のほとんどが若い女性です。見習い期間がクリアすると正社員となります。一時期、派遣労働者を雇っていた時期があった様ですが、労働組合の運動により、基本は正社員とすることに改善してきた経過があります。工場は機械化され流れ作業です。現在は生産量が増えており工場の拡大もするそうです。
次に技研製作所のシンガポール事務所では
販路拡大にがんばる地元高知の方から状況をお伺いしました。
大証2部に上場されて世界30カ国に拠点を置き事業を進めています。今、経済発展をしている国やインフラ整備が行われている国で開発した製品「サイレントパーラー」という機械を売り出すなどしています。サイレントパーラーとは土木工事の時に地面に矢板を打ち込む機械です。発生する振動を押さえることができる機械です。遠隔操作によって危険な災害地でも復旧に大きな力を発揮する製品、技術でした。価格が高いので中々売れないが技術や品質の高さでは負けないと話されていました。
次にインドネシア国内最大の新聞グループ、ジャワポス社に本社(スラバヤ市)に視察。
高知市との姉妹都市交流を行う中で平成12年にジャワポスグループ一行が高知市を訪問したことが絆を深め今回の視察に繋がっています。高知のローカル番組「ごきげんボニート」を参考に若者向けの番組も出来たことが紹介されました。ジャワポス社のテレビ局で使われている編集機材は日本のお古を利用しているそうです。日本の機材はレベルが高い様です。
次、インドネシア領事館では
日本との関係や歴史、経済の状況、民族問題などについて伺いました。領事館の中に入るにはセキュリテイーが厳重で携帯電話やカメラも持ち込み禁止。野村総領事の話は大変勉強になりました。親日のインドネシアだが歴史を振り返れば一時期日本が占領していたこともあり、こういった史実を教訓にし、紳士的な活動をしていないと、暴動の引き金になりかねないと。現に先日、インドに進出した日本企業の工場で暴動が起きている。進出企業のあり方がと問われています。
安い労働力で儲ける海外企業の中には現地を大事にしない国もあり、心配する点も伺いました。その中で高知市がスラバヤ市と姉妹都市交流を続けて15年の歴史があることは国においても高く評価しているとのこと、今後も交流を深めてほしい、そのために日本領事館も出来る限り協力をしていく話となりました。
次にクレアシンガポール事務所(財団法人自治体国際化協会)を訪問。
国から事業委託をうけて地方自治体の国際交流を進める機関です。ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール、ソウル、シドニー、北京に事務所があります。シンガポール事務所は東南アジア諸国と地方自治体の国際交流を進めています。また、自治体間の職員派遣交流や姉妹都市提携などをサポートしています。インドネシアはこれから経済発展が大きく進む要素があるとのことでした。
最後にシンガポールの国立図書館を訪問。
シンガポールは国策として教育に力を入れています。国家予算の3割近く教育予算や図書館整備予算と言います。(社会保障予算はない)ナショナル図書館が中心となって各支店と連携をとり、読書向上を進めています。現在国民の半分が会員となるほど高い利用率です。利用が高まっている背景には十分な予算があることはもちろんですが、読書推進のためのプログラムが作られています。例えば産業別、美容師さんのためとかタクシードライバーのためとか。子ども達に対するプログラム魅力的です。ゲームのストーリ性を活かし読書と結びつけるプログラムまで用意されていました。高齢者や障害者といったいろんなプログラムがあります。
高知県産品の状況
シンガポールの松坂屋・明治屋
シンガポールの伊勢丹と明治屋を視察。日本、高知の食材が販売されています。野菜、ゆず、お茶、お酒など日本の製品が沢山あります。買いにくる方の多くはシンガポールに住む日本人の方だそうです。日本の食材を輸入しているので驚くほど高くなっています。大根が一本500円です。卵も1ケース12個入りで1300円です。しかし、高くても売れています。シンガポールの伊勢丹の年間売り上げは約200億円あるそうです。 ちなみに高知大丸の売り上げは約170億円。シンガポール伊勢丹が主催となって行った四国食品フェアは今年で4回目といいます。
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