12月市議会質問
2013.12月議会質問 はた
1、 生活保護行政
2、 中学校給食
3、 投票率向上と若者の政治参加
1、 生活保護行政について
この臨時国会で生活保護法の改定案と生活困窮者自立支援法の2法案が衆議院では12時間、参議院ではたった8時間の審議しかされていない状況で強行に採決されました。
憲法25条の生存権を保障する生活保護制度、命のセーフテイーネットを国が壊すもので、生活保護基準の引き下げ問題と同じく生活保護法ができて以来、最大の改悪となります。
生活保護基準の引き下げで、受給者だけでなく国民の最低生活水準が引き下げられ、今まで以上の貧困生活に追いやられています。今回の改定では制度のハードルが上がり、さらに制度が利用しづらいものになります。
問題点は大きくは4つあります。一つ目には保護申請の手続きの厳格化による申請からの排除、二つ目には扶養義務の強化、三つ目は医療費の抑制、四つ目は不正受給の厳罰化です。
国が制度利用の入り口を狭め、いわゆる「水際作戦」を合法化するもので、とうてい許されない中身になっています。
様々な立場の方が次の様に生活保護法の改悪について反対を表明されています。
自立生活サポートセンター・もやいの理事長、稲葉剛さんは「生活保護基準は 『命の最終ライン』であり今回の改悪は国民の命に対する国の責任放棄である」と指摘し「国連の社会権規約委員会から日本政府に対し生活保護の手続きを簡素化しなさいという勧告が出ている事をみても政府は世界の流れから逆行している」と強く抗議の声を上げています。
また厚生労働省に設置されている「生活保護行政職員の資質向上に関する検討委員会」の委員長でもある首都大学東京大学院教授の岡部卓さんも「きわめて実効性があるが、申請の抑制・受給の抑制につながる側面をもっている」と指摘しています。
11月8日付け東京新聞は、水際作戦を合法化するもだとする反対の共同声明に賛同した研究者が千人を超え広がっていると報道しています。
今回、法案が通っても憲法の生存権を保障するという、真にあるべき生活保護制度へ改善こそ行われるべきだと考えます。
● 市長は今回の生活保護法の改定についてどのような問題認識をもたれているのか、伺います。
市の運用が改定を受けて今後、どうなるかが問われてくるわけですが、生活保護法24条の保護開始の要件について国は「厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない、・・ただし、当該申請書を添付することができない特別の事情がある限りはこの限りではない」としました。この限りではないということは、これまで同様に口頭での申請を認めることはできると考えます。
● この申請の要件について市の対応はどうなるのか健康福祉部長に伺います。
次に扶養義務の強化の点では、これまでは「扶養は保護の要件とはしない」ということでしたが、改悪法では「保護開始の決定に際して、扶養義務者が扶養義務をおっていないと福祉事務所が判断すれば書面による通知が行われる」となっています。国会で議論となっていますが、通知の中身とは官庁、警察、銀行、職場にまで調査を行い、さらには本人に支給した保護費を後から請求できるものにしようとしています。
まさに「脅し」、ここまでして扶養義務をかそうとしていることは、日弁連が指摘している通り、国の責任を「相互の助け合い、個人の責任」に矮小化したもので、社会保障制度の理念そのものを否定することに等しく、憲法違反というべき問題です。
11月8日付けで国が扶養照会について全国の福祉事務所に通知を出していますが、内容は扶養義務が保護の要件、「前提」となるという記述をしていた長野市の事例をあげ、各福祉事務所に実態の確認と改善を求めています。
この様に現行法でもあからさまに水際作戦と受け取れる様な文書が出された事からも、現場での運用が本当に適切なのかは疑問が残ります。
● 改定法では、扶養義務を果たしているかどうかについて福祉事務所が判断する事になるわけですが、扶養義務をおっているかどうか、その判断の要件とはなにか、健康福祉部長に伺います。
次、すでに8月から行われている生活保護基準引き下げ問題について質問します。
引き下げが不当であるという訴え、不服申請が全国では1万件を突破したと聞いています。これは過去最高件数といわれていた2009年の1,086件の約10倍であり、非常事態だといわなければなりません。
私達、日本共産党市議団にも不服申請をしたいという相談や申請したが却下の通知がきたというなど、生活保護基準引き下げに関連する声やいろんな情報が寄せられています。
● 高知市ではどういう内容の不服申請がどれだけ受け付けられているのか、また、基準引き下げ前の申請件数と比較してどうなのか、健康福祉部長に伺います。
高知市内に低所得者や無保険者のための無料低額診療所がありますが、生活保護受給者を対象にした、
保護基準の引き下げの影響を調べるアンケートがとられました。
(結果については事前に担当課にはお渡ししています。)
サンプル数は少ないですが、回答した生活保護受給者の56%の方が「生活が大変になった、厳しくなった」と答え、約40%の方が食事の回数を減らしたり、食事の内容を変えて我慢していると答えています。
また62%の方が水道光熱費を抑える我慢をしていることが明になりました。記述された意見の中には「食べ盛りの子どもがいるので大変」「町内会費を払うのにも困っている」とあります。
また、先ほども紹介した、自立生活サポートセンター・もやいのアンケート調査でも食事にかけるお金を削った方が約60%。全く影響がなかったいう方は 約18%でした。結果8割の方が基準引き下げの影響を受けていると報告しています。アンケートに書き込まれた意見には「子どもにはただの『我慢』と『節約』しかできない子育てはいいのでしょうか」や「そこら辺のペットの方が大事にされている気がしています。ペットより自由に声をあげられない受給者たちは、心は健康ではありません」という書き込みがありました。
高知市でも状況は同じだと思います。11月29日に寄せられた74歳の女性の手紙を紹介します。
「平成25年6月ごろ近森病院の先生に言われて、役所にゆうてみなさいと言われ、私も熱中症にかかり家にクーラーがないと言って、役所にいきクーラーをつけてくださいと、相談したところ、自分で買いとの事、月々支払うので借用したいと申しでたが、そんなお金はでませんとの事です。」という訴えです。
この手紙は2通目です。どれほど辛い、苦しい思いをしているか、我慢というものがどれほど精神的にも大変にさせているか、懸命に書いたと思うこの手紙を見ると、何度も涙がでてしまいます。
● この様な声、生活保護受給者の状況を市長はどのように認識されているのか伺います。
● 生活保護基準の引き下げの影響について、市としてもアンケートをとり、
実態を把握するべきではないでしょうか、健康福祉部長に伺います。
手紙を紹介したこの女性の世帯のケースに関連してお聞きしますが、
今年の夏は猛暑でした。相談が断られた後、8月の気温は40度を超えたとの ニュースが飛び交っている時、女性はクーラーがないために体を壊し、再度、 救急車で運ばれました。病院の診断はまたも熱中症です。改善がされないまま、現在に至っております。
なぜ、福祉課はクーラーを含め生活必需品について、生活保護を受けている方でも、利用できる貸付制度「生活福祉資金」があるのに「そんなお金はでません」と貸し付制度の説明もなく断ったのかです。
当時、相談後すぐ、私は(7月に)担当課長に断った理由について説明を求めました。
断った理由については「生活福祉資金の貸付制度は、生活保護者のうち、年金や就労収入がある方に限られているので、この女性の世帯は無年金だから使えません」とのことでした。
しかし、貸付制度を管理運営している市の社会福祉協議会に行き、確認したところ、貸付の対象は無年金、無収入の方の受付は断らないという事です。
生活保護受給者の場合は提出書類のうち、福祉事務所の「意見書」が必要となる事でした。「意見書」とは貸付の必要性や保護費から毎月いくら返済します、という担保部分が総合的に確認できる文書(資料)があれば問題ない、貸付の協議はできるという回答でした。
本人の申し出もあり、8月末ごろ再度、担当課長に「意見書」を書く様に、協議して欲しいと求めましたが、返ってきた言葉は同じく「書けません」ということでした。
● このケースの場合、なぜ、社会福祉協議会がいう「意見書」を市の福祉事務所は書けないのか、市の社会福祉協議会ときちんと協議をされた上での判断だったのか、健康福祉部長に伺います。
● 本来、貸付制度の目的からしても、無年金、無収入の世帯であっても利用できるものにするべきではないでしょうか、健康福祉部長に伺います。
⇒ 県社協へも確認すると、「無年金・無収入の方に貸さないとはしていない」と貸付の受付は拒んでいないと言うことでした。高知市が意見書をどう扱うか、書けるかということ
貸し付制度が利用できなことで何が起きるかと言うと、簡単に貸してくれる高金利の闇金に手を出したり、就労しても申告をしないという不正をしたりという問題が増える要因になるということです。
このままであれば、不正を助長させ、生活保護費が闇金の原資になります。
実際に私が受けた相談には、年金や保護費が入る通帳と印鑑が担保に取られ、法外な高い利息にひどい取り立てにあっている市民、生活保護受給者がいます。警察も承知している市民の実態です。
● 福祉事務所は闇金の被害に生活保護受給者があっている問題をどのように
認識し、対応されているのか、健康福祉部長に伺います。
関連して、生活福祉資金は生活保護受給者のうち、年金、就労収入がある人には貸付しているという事実からお聞きします。
もうひとつのケースは44歳の知的障害の息子と生活保護を受けて暮らしている母子家庭のケースについてです。この世帯の場合、母親には1ヵ月約5千円の 年金があるので、生活福祉資金の貸付は当然、可能です。
相談の内容は浴室にある湯沸かし機が故障して、屋外にあるボイラーにライターで点火して動かさないとお湯が沸かせないので治したい、そのための費用が でないか、という事でした。
本人は福祉課に相談しましたが、ガス屋さんを紹介してくれたものの「貸せない、保護費をやりくりして貯めて」と言っています。
本人は言われる通り、ガス屋さんに修繕費用を聞きくと、古すぎて製造もしていないので、買い換えるとなると7万2千円かかると、月賦払いは2回までしかできないと言われ、毎月の保護費の中からは払えないので困ったという事でした。
私は貸付制度の申請ができる対象になるケースなので、再度、担当課に貸付のお願いをしてみてくださいと伝えました。しかし、福祉課は「保護費をやり繰りする様に」としか答えていません。
例えば、生活福祉資金の貸付制度の利用、状態によっては修繕費での対応、また引っ越しなどの可能性が考えられ、対応策がいくつもあるに、生活福祉資金を含め何の説明もしていない。ましてや修繕のための住宅維持費の可否についても現場確認すら行わず、「修繕の対象にならない」と返事したことは、適正な業務執行とはいえないと思います。
● このような対応があったことにつてまず、事実か確認します。健康福祉部長に伺います。
● 今回のケースがどうして生活福祉資金の貸付対象とならないと判断したのか、
健康福祉部長に伺います。
⇒ 現在の取り扱いでも貸付範囲に日常生活に必要なもという項目があります。 土佐市、中土佐町、宿毛市では生活保法の規定の範囲に入っているクーラーの貸付を実際行っていますが、高知市は実績がゼロです。県内でも保護受給者の数が一番多い高知市で、制度ができて以来、実績がなぜ、ゼロなのか、何が原因と思われているのか健康福祉部長に伺います。
● クーラーは当然ですが、他で最低生活に必要なもの範囲等について、今後、社会福祉協議会と協議し、進めて行く考えはないのか、健康福祉部長に伺います。
この間、市長を先頭に福祉行政における運用で「水際作戦」や不適切な対応といわれる事はないし、あってはならい事だと答弁してきましたが、実態は制度を受けられるべき人が追い返されているわけです。
問題なのは制度について貸付の対象者が何も知らされていないと言う事実です。
● 福祉事務所は生活福祉資金貸付制度について、担当職員を始め、生活保護受給者対してどのように周知を行ってきたのか、今後、周知徹底をどの様に行うのか、健康福祉部長に伺います。
● 指摘した問題やこれからの課題を考えれば、改めて職員を増やすなど体制の見直しは当然、必要な状態と思いますが市長の所見を伺います。
2、中学校給食について質問します。
中学校で給食を実施してほしいとの質問を何回も行ってきました。
その背景には日々高まる世論があるからです。教育委員会も今年2月に中学生の昼食アンケートを行いました。その結果にも現れているように、生徒、保護者とも約9割が給食を実施してほしいと答えています。
保護者だけではなく様々な立場の方から意見が出されています。JA高知、園芸連などを訪問しましたが、栄養面や地域経済への効果も高いと話されていました。また「市内の中学校19校中6校では給食がるのに、他に無いのは不公平ではないか」「給食がないことで就学援助制度の昼食代免除が自己負担となっている」など不公平だという声が高まっています。
また県内の状況と比較をしても格段に遅れをとっています。34市町村中、中学校給食が無いところは7市町村でしたが、その内5市町村が検討委員会を立ち上げ、中学校の給食実施の方針決定を出しています。検討委員会すら無いのは高知市と須崎市となりました。
なぜ、検討委員会すら高知市はもてないのでしょうか、この間の答弁でも「財政難のため実施困難」「学校の耐震対策を優先している」と言ってきました。しかし、どこの自治体も高知の場合は学校の耐震化もしながら中学校給食を実施しています。 できない理由を「耐震化」にするのは恥ずかしいことではないでしょうか。
これまで給食の実施を求める質問に対して、市長も学校間の格差があると認めています。しかし、いつまでに、どうやって解消していくのかという事はなんら示されていません。
全国、や県内の状況をみて遅れているという認識が市長にはあるのか、また中学校の給食未実施による格差、不公平な状態は放置できないと思いますが、対応策をあわせて伺います。
学校校舎、体育館の耐震化は今年度末で75.3%と一定の目途は見えてきました。
一方で、給食を作っている小学校の給食室の耐震状況はと言うと、昭和56年以前の旧耐震の建物が41施設中26、約63%もあります。国の整備基準になっているドライ施設に対応出来ているのは7施設だけであり、早期に施設整備の改善が必要です。
● 給食施設の現状をこのままでいいと思っているのでしょうか、どのような考え、方針を持って改善をしていかれるのか市長に伺います。
今後の給食施設整備や配置のあり方、未実施校では就学援助制度が使えないという格差あり、この様な事も考えれば中学校給食を今後どうして行くのかという事を考えるために、検討委員会を立ち上げて、研究していく必要があると思いますが市長の所見を伺います
3、 投票率の向上と若者の政治参加について
国もこの7月の参議院選挙からネット選挙運動を解禁しました。
低投票率の問題や若者の政治参加をどう進めるかは国あげての課題となっています。地方自治体レベルでもこの課題にどう取り組んでいくのかが、問われてきます。
市の選挙管理委員会も投票率を上げるために、啓発活動は当然のこと、期日前投票を含め投票所を増やす努力はしてきたと思います。
しかし、結果は低投票率に歯止めがかかっているとはいえない状況です。
現在99ヶ所の投票所がありますが、その中でも20ヶ所で期日前投票ができる様になっています。現在、期日前投票所の場所は選挙管理委員会事務局、市役所前ピロテイー、各ふれあいセンター、合併前の旧庁舎、春野公民館、福寿園となっています。
高齢化や労働環境などの多様化の中では、さらに工夫、改善していく必要はあると思います。
たとえば、環境づくりでは、告示日から投票日までの間に投票できるという期日前投票は大きな役割をはたしています。総務省の資料でも期日前の投票率は上げってきています。この様な結果から期日前投票所をさらに増やすことも必要ではないでしょうか。
また、若者の投票状況からみると、直近の参議院選挙の結果では市全体の投票率が約44%ですが、20歳代にいたっては約25%、30代は約33%とかなり低い率となっています。
若者たちがどうして選挙に足が向かないか、その実態・声を知ることは大変重要なカギだと思います。
11月29日に県の選挙管理委員会と明るい選挙推進協議会が主催した「議員と若者の交流会」が開かれました。毎年、開催されている企画でして、おと年から私も参加させて頂いています。
参加者している若者のほとんどは大学生で、憲法や経済学、教育、福祉と学んでいる若者達です。
中には行財政改革のあり方をテーマに卒業論文を書いている4回生や東北の復興支援活動に取り組んでいる学生も参加していました。
政治に対しても活発な意見がたくさん出されました。本当に嬉しく、たのもしく感じました。 その意見交換の中で「どうして大学で投票できないのですか」と聞かれました。私はもっともな意見と思います。彼女は県外から高知に来ていますが、高知大学の場合、8割の学生が高知市に引っ越してきて毎日大学にかよっています。彼女の言う通り、身近な大学で投票できれば、若者の政治への関心は今以上に高まります。
今年7月の参議院選挙から全国で初めて松山大学に期日前投票所が設置されました。投票したある学生はインタビューに「選挙が身近に感じました。授業の合間に投票でき、学内で話題にもなりそう」と答えています。 大学で学んでいることと政治が密接に関係していますし、これからの未来を担っていく若者から「大学に投票所がほしい」というこの声は歓迎すべき事です。
そこで選挙管理委員会にいくつか伺います。
● 市の選挙管理委員会は若者の投票率向上のためにどの様な取組みを行って
たのか、その効果がどうだったのかも合わせて選挙管理委員長に伺います。
● 紹介した様な、大学での投票を求めている若者の声をどう受けとめているのか、また若者の政治参加、関心を高める具体的対策として、大学での期日前投票所の設置は効果があると思いますが、選挙管理委員会委員長の所見を伺います。
● 大学側や学生たちに選挙管理委員会の方から期日前投票所の設置に向けて
協議の依頼ができないかどうか、選挙管理委員会委員長に伺います。
Comments