2014.05.26
京丹後市、バス利用者倍増成功!
京丹後市へ公共交通について視察を行ってきました。
京丹後市はの人口は約6万人で平成の大合併により面積は840平方キロと広く移動手段の7割強は車という状況です。公共交通の活性化への取り組みが成功し、現在ではバス利用者は平成17年からの5年間で倍増させています。結果、運賃収入が増え、市の赤字補填額も減少させています。
活性化をどう取り組んだのか、住民とともにどう進めてきたのか、大変勉強になりました。
ポイント1、上限200円バス 2、路線と便を減らさず工夫 3、住民と対話
この取り組み、そして成功させている実績は高く評価を受けています。バス専門誌「BUSRAWA」では「日常的な利用につなげる仕掛けを繰り出しているのも画期的」 「人口減少の中、動機付け、フォローアップ、域外需要の取り込み、三拍子そろえる上で関係者の信念と情熱」も評価に。
また、今年4月18日付けの日刊自動車新聞でも人口減少、少子高齢化時代に「京丹後市と丹海バスが協働してバス路線再生」と大きく取り上げています。
国際交通安全学会は2013年度に京丹後市に業績部門で学会賞を与えています。
停留所でバスを待つお年寄りたち。
1、京丹後市の状況
合併により面積は840平方kmで高知市の約3倍で人口は約6万人。
主な産業は観光産業との事、高齢化率は高知市とほぼ同じで約32%。
車の保有台数は1世帯に2台と高知市の2倍、移動手段の分担率でみると
自家用車は74.1%、バス1.1%、鉄道0.8%と車の利用が非常に高い状況。
2、公共交通網
・鉄道 北近畿タンゴ鉄道(三セク)
・路線バス 丹後海陸交通 (丹後全域、13路線、約410km)
・コミニュテイバス 京丹後市 (丹後全域、18路線)
・福祉有償輸送 社会福祉法人、NPO法人
・観光汽船 宮津市、伊根町
3、年間の利用状況
鉄道利用は年間約3,000人のピーク時の3分の2に2,000人へ減少
バス利用は平成3年の1,367人から平成17年には半分に減少し675人になっていた。課題 *このままでは地域から公共交通が消滅、市の財政をさらに圧迫する危機
*マイカーにも頼れない高齢者が増えていく現状をどうするのか
4、路線バス再生への取り組み
① 庁内にプロジェクトチーム
2006年に結成。福祉、教育、観光、市民生活の分野などから横断的に職員(5人から7人)を招集し、初年度は18回会議を開催する。
*路線バスは公共交通の機軸と位置づける。
*利用者アンケートを実施(ターゲットを絞る、高齢者・中高生)
*低額運賃バスの試算⇒ 200円案(利用率2倍以上にすれば財政負担は減っていく)
*路線の利便性の向上策⇒ 回数券の車内販売、ダイヤ改正、停留所の増設・改善
バス路線の変更や延伸、*ノンステップバスの導入、
車両の小型化、
*周知方法の改善⇒ わかりやすい時刻表の発行、アンケート実施、
老人会や高校に出向き対話集会、
運転手さんによる保育所などへ出前講座
② 市内8路線で上限200円バスを試行運行
*翌2007年には市内全体に200円バスを拡大
*停留所137箇所から178箇所へ拡大
*乗車人員が2.3倍へ、運賃収入は1.3倍へ
③ 市の財政負担の減少へ
*増え続ける財政負担が減少へ
路線バス8路線の赤字補填 約8,000万円⇒6,900万円
増えると想定されていた額からは約3,800万円の抑制となる
「SKMBT_C35214052217530.pdf」をダウンロード
2014.05.22
県交通と土電が統一 公共交通のこれから
新会社設立、年間2億以上のコスト削減
公共交通を担っている県交通と土電が企業統合を行い10月にも新会社を設立する準備をしています。その中で向こう5年間の債権処理と新事業計画案が市議会の総務委員会に示されました。
① 債権の整理では行政は10億円の支援を行う
② 年間約2億1千万円のコスト削減
③ 補助制度の見直し
④ 赤字バス路線の見直し
市民や行政に関わる部分では大体この4点の検討、見直しがこれから行われます。
債権整理では市の負担は4億円規模になりそうです。コスト削減では自動車部門だけで年間6千9百万円の職員経費の削減が予定されています。
5年計画でみると管理職も含む職員削減額は約5億5千万円と示されています。
また補助制度と合わせてバス路線の見直しでは路線の縮小・廃止が心配されます。
バス路線は住民のニーズに応えれる体制を
大幅な職員削減の具体的な事はまだ明らかではないですが、運転手さんが減れば確実に路線維持に悪影響となります。運転手さんの確保は重要です。バス事業の動脈とも言える仕事を切っては事業再生はないと思います。
* 運転手さんの削減の前にまずやるべき事
市は「公共交通基本計画」を策定し、基本方針の中で「市民参加の機会を設け、様々な意見が反映できるような仕組みづくりや体制づくりを整え、実効性を高める進行管理を行います」と明記しています。市民、利用者のニーズを把握する責任が市にあると言うことです。このニーズ調査から事業量など見極めていく必要があるのではないでしょうか?
部長答弁=「市民ニーズの把握は必要」
総務委員会でニーズ調査を行うよう求めました。市もニーズ把握の必要性を認めました。今後、どのように進めるのか、声を上げていきましょう。
2014.05.13
収入の4割が教育費に消える日本
高すぎる教育費、若者は教育ローン地獄
奨学金制度の利用者は6割へ
昨年、日本政策金融国庫が国の教育ローンの利用者(子ども2人世帯のみ)にアンケートを行い、家計に占める教育費の実態を明にしました。
* 教育費とする対象は在学費用と塾など家庭教育費を含む保護者負担のことです。
調査結果では平均年収が約553万円世帯で家計の4割が教育費、また年収約400万円未満の低所得層では6割が教育費となっています。
そもそも日本の教育費は高すぎるのです。国公立4年制大学で平均300万円、大学博士課程までなら1千万円もかかり、私立ならその1.5倍とも言われています。これは当たり前ではありません。世界と比べればOECD加盟国34カ国中、最低です。学費無償も給付制奨学金制度(返済の必要ない)もないのです。
文部省の調査報告でも昼の部の大学生の約51%は奨学金制度を利用しています。15年前の2倍です。
結局ローンですから利子をつけて返済しなければなりません。卒業した時から何百万円もの借金を子ども達は背負って社会にでます。
一生、非正規へと進む社会の中で
社会に出ても雇用情勢は悪化の一途、ほとんどが非正規の仕事です。この高知県でも有効求人倍率が少し改善などと言われますが、中身は非正規雇用が増えるばかりです。こんな社会の中で働きながら奨学金を返済せよと言ってもできないのは当然です。先日、日本共産党が開いた「学費・奨学金のつどい」で200万円台の奨学金を返済している介護士の女性は毎月1万5千円を35歳過ぎるまで返し続けないと発言しています。
低賃金の上に学費の返済と、生活は苦しく希望が持てない日々、彼女は「私が甘かったと思う」と自身を責めています。学びたいと思っている若者達をこの様な状況に追い込んでいる今の政治に怒りと冷酷さを感じます。
国のひどい取り立て「一括返済請求」
国の奨学金の運営は独立行政法人日本学生支援機構が行っていますが、経済的理由による滞納者や中退者は増えていると報告しています。
払えない状況を認知しておきながら10%の延滞金、3ヶ月滞納でブッラクリスト、その次は裁判所を使って一括請求、まさに「金貸し業」です。払えるかどうかの確認状況も「連絡がなかったから一括請求になる」答弁するなど本当にひどいものです。こんなやり方を許してはいけません。
市の奨学金制度も給付型へ改善を求めよう!