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2017.06.22

2017 6月市議会 報告と感想

《 6月市議会報告 》 共謀罪と治安維持法、自衛隊での就職体験学習

共謀罪


 6月市議会では共謀罪、治安維持法、教育勅語などに対する質問を行いました。
物言えぬ社会をつくり、内心も処罰の対象とする共謀罪について、高知県内の大学人の声明など紹介し市民への影響、法への認識を問いましたが、国会で証言した刑法学者の高山氏の発言「科学的危険性などの根拠がないことから日本の法体系が根本から変わってしまうことへの懸念を表明してします」と紹介し、慎重な審議の必要性はあったと言うものの、核心の共謀罪の是非は「判断できない」としか答弁しませんでした。明らかに違憲である共謀罪法を判断できないとした点は重大な問題だと言わざるを得ません。また、追及の中で市長は「恣意的運用の心配はある」とは言いますが同時に「県警本部長が恣意的運用はしないと言っている」と答え、あたかも大丈夫だと言わんばかりです。
恣意的運用を制限できる条文はこの法にはなく、これは根拠を欠く答弁です。


治安維持法


 治安維持法への認識も問いました。市長は「特高といわれる捜査機関が法を恣意的に運用し多数の犠牲者を出したもの」「『横浜裁判』で当時、違法性は認められた。一方、賠償については、国家賠償法制度以前の事業であり請求が棄却されている」、悪法だという認識は答弁からは感じられません。私は非常に背筋が寒くなりました。同じ市民であり、治安維持法の犠牲者となった、詩人・槇村浩(本名・吉田豊道・29歳)の拷問死をどう思うか、国はせめて謝罪はするべきと問うが、「判断は国の問題」と転嫁しました。市民が犠牲となった歴史の事実を踏まえれば、市長は国へ名誉回復を求める立場であり、あまりにも冷たい答弁だと思います。
 治安維持法で拷問を受け多くの方が転向、思想を捻じ曲げられました。横山龍夫市長時代に、槇村浩の詩碑が高知市横浜から移転し城西公園に立てられています。昭和63年12月5日高知市の緑政審議会の議事録に当時の公園への設置理由について、記されています。「高知市出身の詩人、槇村浩は「日本現代詩大系」「日本の名詩」をはじめ、多くのアンソロジーに収録され、日本の昭和初期を代表する重要な詩人の一人であり、その功績は日本のプロレタリア芸術運動史に永く残るものであり、ゆかりの地に移転設置することは、高知市民の文化的資質を向上させるものである」と業績、生き方をたたえ顕彰しています。当時の市政と比べて、現在は歴史や文化、民主主義を守る為に命を落した市民へのいたわりの心すら感じられず、後退したと思います。

教育勅語
教育勅語について、森友学園の幼稚園児が暗唱させられている事や内閣が肯定している点は大問題であると指摘し、憲法や教育上、教える必要のないものであると思わないかと問いますが、教育長は「1890年から廃止されるまでの間、国の教育方針であった」「現在は『教育は人格の完成を目指し~』という学習指導要領等が定められており、それに基づき本市の教育大綱も目標としている」としか答えず、市教委は教育勅語を否定しませんでした。あくまでも、学習指導要領に沿って教育活動をしているとしか言わず問題をすり替えようとします。学習指導要領に沿っているかどうかではなく、教育勅語そのものの評価を聞いていますが、答えず、否定もしない状況です。

自衛隊で職場体験教育


 自衛隊での職場体験学習について、今や自衛隊は一般的な職業ではなく、戦争に繋がるもので、将来、子ども達の生命に関る仕事となっており、だからこそ、校内討議、委員会討議が十分にされる必要がありますが、教育長は「生徒、保護者の了承が前提、学年の教員内で確認、最終的に学校長が決定」と答弁しました。これは、本人、保護者の了承があるなしの問題だけではありません。そもそも職場体験に含めるかどうか、校内全体の論議や教育委員会として論議が十分にされているかという問題です。
自衛隊での体験学習の内容は教育委員会としても現地で、確認する必要がある点も問いますが、行くとは言いませんでした。これで、教育委員会として何が適切と判断できるのかと言いたいです。客観的に安全を保障できるとは言えない状況であり、危険な実態が改めて浮き彫りになりました。

沖縄から見えること
先日、亡くなられた元沖縄県知事の太田昌秀さんは平成22年NHKの「基地問題」を特集した番組の中で教育の怖さを語っています。「他人の犠牲の上に自分が幸せであることはできない」「私は教師には絶対になりたくないと誓った、どうしてかと言うと教師は怖い存在、教え方一つで100人でも1000人でも子ども達を殺すことを可能にする、戦争にかり出す前に命の大切さを教えず、命を犠牲にすることは国のためであり、人間として正しいと教えた、私はそう教わったから」と。戦争の歴史を踏まえ、反省することが、戦後教育の原点であることを訴えています。現在の沖縄は米軍基地問題と闘っているだけでなく、政府が進める自衛隊を巻き込んだ、戦争する国づくりに対して、翁長知事を先頭にオール沖縄、県民上げての非軍事化運動、平和運動に取り組んでいます。その中で自衛官募集の強化を進める防衛省に対しても沖縄県内の市町村は協力しない姿勢を明確にしています。一方、高知市を始め全国でも問題になっている18歳~27歳の適齢者情報(個人情報)の抽出、提供問題で、高知市は閲覧制度での対応は変えてはいませんが、適齢者名簿を作成し閲覧させるという協力を平成26年から行なう様になりました。
 6月市議会でも中学生の自衛隊での職場体験学習を行なう学校が平成27年2校、平成28年4校、平成29年8校と増え続けていると答弁しました。2009年、防衛省に行なった情報公開の資料では入隊のきっかけを聞いたアンケート調査では志願者の76.5%が誰かに進められており、その内約10%、10人に1人が、学校教師に進められたと答えています。防衛省が学校を「組織的募集」に組み込もうとする戦略は一定効果があるということで、今後、学校、教育現場への協力依頼が一層強まることは明らかな状況です。また、防衛省が平成25年に示した中期防衛計画には、自衛官募集の強化においての重点市町村の設定を行なうとあります。しかし、自衛隊への協力の範囲は自治体の裁量であり、強制されるものでも、忖度する必要のものでもなく、断るべきだと問いましたが、市長は「県のからの重点指定はない、指定の話があれば理由など確認しながら、総合的に判断する(現在県内で重点指定となっているのは香南市、宿毛市、中土佐町)」「重点指定の話があれば協議する」と答えました。形式的に協議は必要な過程ですが、明確に断るとはいいません。

平和や暮らしをおびやかし、暴走を極める国に物言える市政であって欲しいと強く思う質問戦でした。


上下水道事業について  

 市長   「過去に遡っての繰り入れはしない」
        「後年度の一般会計の繰り入れは基準外はしない」

 上下とも値上げを回避する為には、どうしても一般会計からの繰り入れなくして達成できない。
一般会計からの繰り入れへの考え方を2問で問うも、過去の繰り入れ不足への反省もなく、今後も法定外は考えていない答弁だった、これでは値上げは確実のものとなる。
審議会の答申でも「低廉な料金」「利用者間の負担の公平」が求められているが、これでは応えられないことになる。無責任すぎる答弁ではないのか、今後の議論の余地さえなくすものだと思った。水道法にもある、公共の福祉という考え方はないのかと言いたい。

上下水道事業管理者  「民営化はメリット・デメリットがあり十分な研究、検証が必要と考える」
              「水道料金は商品の対価、公平な負担をお願いしなければならないと考える」


 水を商品ととらえている水道局が民営化しないとは思えないと思った。水は単なる商品ではない、抑制に働けば暮らしや命にかかわることは、誰でも理解できることだ。現に公園で水を汲み暮らしている親子、お年寄りがいる。黒字を生むほどの値上げは幅おかしすぎる、2問で「黒字はない」=資産維持に消えるという意味の答弁があった。17.7%に値上げ幅については、国の目安を示しただけとの説明を繰り返すだけで、引下げの方向は、まるで見えない。「繰り入れ不足や市の努力」これに対する反省や熱意はないのだろう。 
 このご時世、水道料金を上げることの影響、市民の苦しみを感じないのだろうかと思う。


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