ブルーインパルス 住宅地を飛ぶ
「曲芸飛行」で広報活動
8月、初めて高知の住宅地上空を自衛隊ブルーインパルスが6機編隊で飛行、白煙で五輪やハートマークを空に描いた。子ども達は「かっこいい!」と叫んだ、一方で、高齢者は「爆音で戦争を思い出した」と飛行を批判した。
自衛隊は「展示飛行」であり「曲芸飛行」とは絶対言わない。理由は航空法で住宅地上空での曲芸は違法になるからだ。防衛省の法解釈は曲芸では無いそうだが、誰が見ても曲芸です。都合よく曲芸の範囲を決めているところも、おかしい。
そもそも、ブルーインパルスはどんな部隊なのか
戦闘機の指導訓練をしている部隊。航空自衛隊第4航空団11飛行隊(宮城県・松島基地)に所属するアクロバットチームで一般にできない高度な飛行技術(曲芸)を披露し、広報活動も行っている。
志願者増やしに県・市が協力
よさこい祭りの応援と言うよりも、自衛隊の広報活動なのである。
防衛省は人事局長名で「地方公共団体による自衛官の組織募集の推進について」通知を出している。
そこには「国民の理解を深め、志願者を増加させ安定的に優れた資質の隊員を確保する上で、地域とつながり
を有する地方公共団体の組織を通じて効果的かつ計画的に行うことが必要不可欠」と自治体に協力を求めている。 高知県と市はこの組織募集を進める事業に協力したという事になる。つまり自衛隊と共催の飛行であり、事故がおきれば、行政側も責任は問われることになる立場と思う。 展示や曲芸であれ、住宅上空での戦闘訓練を認めたに等しい。
国民は『災害支援』を期待
内閣府の世論調査では自衛隊は今後何に力をいれたらよいと思うかの問いでは約76%が「災害派遣」と挙げた。だが、自衛隊は国防を主任務としており中身は「軍隊」なのだ。国民の期待とは真逆の任務がある、国防(軍事)予算は過去最大5兆3千億円を越えた、国家予算の約6%にも達する。
心配なのは日本が攻撃を受けなくても参戦できる法律(戦争法)の下、戦争に加担し、実際に自衛隊員が命を落すかもしれない所にきている事。行政や政治家は隊員の命の重さをどこまで認識しているだろう。
憲法9条を変える事はなんとしても食い止めたい。
爆音で蘇る戦火の記憶
一通の匿名ハガキが届いた。「よさこい祭りの応援なら花火でいい、ブルーインパルスをなぜ飛ばすのか。高知の空に断固、飛ばさないでもらいたい」と。共感する!戦争を知らない私も、あの戦闘機の爆音で戦争をリアルに感じた。
73年前、太平洋戦争の末期7月の高知空襲で、祖父の弟は18歳で亡くなった。戦闘爆撃機B29が落とした焼夷弾が右肩にあたった。「痛いようーお母さん、熱いようーお母さんー助けて」と言って焼け死んだという。
尊い命が奪われる戦争、純粋に国を信じ、まじめに生きてきた人々を巻き込んだ戦争が憎い。
私は知っている、兵隊として見送った息子や夫を失った家族が戦後、どれほど苦しんだか。3人の幼子を連れ、死のうとした母の姿を語ってくれた男性は生きて、平和な未来を願っている。
今日も街の片隅の喫茶店でコーヒーを入れている。
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