市議会 12月代表質問
1、市長政治姿勢 投票者の半数以上は新しいリーダーを求めた、信頼回復への取組み
西敷地 市民の審判は「広場」、民意の受け止めと複合案は見直しを
財政再建・行革のあり方(水道局の広域化や各窓口センターの民営化)
若者の投票、政治参加について
ハラスメント対策 (第三者委員会・被害者支援)
2、災害・温暖化 温暖化による災害等への認識 脱炭素社会へ宣言を
都市計画へ緑地保全(開発制限)強化(福井・大津・長浜・やえもん)
公共施設の安全管理や長寿命化の起債制度の利用実態、今後の活用と制度延長
3、教育 学力テスト見直しと不登校対策
寄宿舎のある特別支援学校の市内設置の必要性
4、国保 県に対し特別調整交付金の活用した、子どもの均等割り減免を求めよ
5、子ども支援 子どもの医療費無料化、学校給食費の無償化
1、市長の政治姿勢について
市長選挙で5期目を当選された岡崎市長にはおかれましては、ご当選おめでとうございます。
12年ぶりの県知事選挙と市長選挙、久々のダブル選挙でした。
結果は浜田新知事が誕生したわけですが、出口調査で88%が尾崎県政に満足と答えた中で、野党候補が約4割の得票を得たことは重要な民意だと思います。国政とのパイプや行政経験を強調した浜田氏に対して、松本候補は中山間地域も含め、若者が高知を離れる問題や人が住めなくなるほど荒廃していく集落の実態をつかんで、尾崎県政でも乗越えられなかった問題があると訴え、教育や社会保障、農林漁業に光を当てた「誰一人取り残さない県政をつくる」と展望を語り、大きな共感と支持を広げました。いかに国政や県政を変えるか、という大きな点で団結をした野党共同に、大きな期待が託された結果でもあると思います。
野党共同は少しずつではありますが、着実に安倍政権を追込んでいます。その流れは地方政治へ広がっており、沖縄、岩手、埼玉県では野党共同が推薦する知事が誕生しています。
この流れが市政レベルでも進むことが、国民を苦しめる国政や国に物言えぬ県政を変えていく大きな力になると思います。日本共産党は市政でも野党共同の前進のために今までにない最大の努力をすることを約束したいと思います。
では、市政問題に移ります。市長選挙を通し、市民がどういう審判、民意を示したのか、きちんと見なければなりません。今回の市長選挙は5人が争う構図となり、結果、現職の岡崎市長が5万5328票を獲得しました。
一方、残り4人の獲得票は6万2273票あり、明らかに現体制に対する批判票の方が多い結果となりました。投票した市民の半数以上、約53%が新しいリーダーを求めたという事実ついて、重く受け止める必要があると思います。選挙後の記者会見で市長は「政策の弱い点の克服」が必要と語っていますが、政策が問題なのでしょうか。選挙する中で寄せられた市民の意見には「行政としてあってはならない、不祥事が多すぎる」という声が多くありました。
なぜ、市民がこれほどまでに、現体制、リーダーを変えて欲しいと言っているのか、それは職員19名が書類送検された浦戸道の駅構想に係わる公文書の改ざんや甚大な台風災害発生時に市幹部が報告もないままの競馬旅行に行く、また相次ぐパワハラやセクハラ問題など、あってはならない問題が切れ目なく続いている状況があるからです。その上、オーテピア図書館西側の土地をめぐっては、情報公開されるべきもののほとんどが「非開示」とされ、市民に十分知らされないまま、将来50年に渡って市民の財産の土地を貸し付け、複合(ビル)施設の建設を進めようとする。そういう「市民不在」のやり方が、いい政策も打ち消す程の不信や怒りになっていると思います。
選挙後、不祥事に対する批判について聞かれ、市長は「市役所が緩んでいるなどの批判は出たが、職員は非常に真摯に頑張っている」と発言されていますが、言い換えれば、責任は不祥事を起こした職員であり、組織や市長としての責任は語っていません。
この市長の姿勢に対して、市民はどう見ているか。指摘している不祥事の内容は、緩んでいると言う様な軽いレベルではないということ、そして職員全体が批判されているというよりも、その多くは決定権者である市長トップの責任や組織運営が問われる事柄であり、その重大さを認識していないともとれる発言です。これで「不信」が解消に向かうとは思いません。
- 投票者の半数以上が賛同できないと審判を下した今回の選挙結果と、また、市政運営の大前提である市民との「信頼」関係が崩れているという点について市長、ご自身はどのように受け止めているのか、その上で信頼回復をどう図っていくのか、市民との対話や行政の透明性、公正性をさらに高めていく取組みが必要と思いますが、今後の市政運営方針について市長にお聞きします。
2、西敷地について
次に市長選挙の争点になった、追手前小学校の跡地、オーテピア図書館の西側の土地について伺います。
市長は複合施設を進める立場で選挙を闘ったわけですが、結果は他の4候補は「広場的機能」を求めるとしました。その得票数は岡崎市長の得票数を上回っており、民意は明かに「広場」空間を求めています。
- 選挙の結果を真摯に受け止めるならば、市長のいう複合施設計画は一旦、思い留まるべきではないでしょうか。
選挙後の記者会見で市長は「西敷地は最後の出口を決めきれなかった」と発言していますが、これはどういう意味でしょうか。決めきれない、頓挫した理由についてはこの間の市議会でも答弁していますが、要点は情報の「非開示」に対し市民の批判が非常に強いという事と業者への「風評被害」があり進められない為として、一旦は白紙化するとの事でした。つまり、総じて市民の反対が原因で頓挫した。進めたいが進められないという言う事だと受け取れます。一方、広場を求める多くの市民の立場から、この計画が止まっている事は非常に嬉しいことです。
しかし、大事な真実が隠されたままで、いまだ複合施設を進める市長の姿勢は認めるわけにはいきません。
選挙直前の10月、情報公開請求によって出てきた資料は驚くものです。頓挫したとされる協定案は市長を含め関係者の「決裁」がない、起案紙もない、文書不存在という事実があります。そして、市民が不利益を受ける可能性を認める結果があったことが資料から分かります。
① 市は基本協定案及び同修正案に係わる起案紙・決裁書を公開することができない理由についてこう述べています。「文書不存在の理由、基本協定案及び同修正案は作成しているが、優先交渉権者との協議が整わなかったことから、当該文書は作成しておらず、保有していないため」と回答しています。
本来は起案があっての協定案の作成、協議があっての修正ではないでしょうか。協定案はあるが、起案紙も決裁もない、話し合いの過程も分からない協定案というのは普通ではないと思います。
② 市民にとって不利益と言える点とは何かです。基本協定案は平成30年11月1日に当初案がだされ4回において追加、修正が行われています。その中で、市と新法人の双方に解除権が定められ、市は相手側に法律違反や背任行為等があれば解除できます。11月12日付けでは、新法人も市等により土地賃借条件に大幅変更がされた場合、解除できるとしていますが、「解除によって生じる損害は双方とも請求しない」とありました。
また修正され、11月14日付け最後の協定案10条には、新法人からの基本協定解除とあり「1、土地貸借条件の大きな変更。2、事業実施に関わる法令や条例を含め、事業について大幅な状況、環境及び前提条件の変更がない」ことが条件とされており、この条件を市が変更すれば「甲(市)又は第三者に損害が生じても、乙又は新法人はその責任を負わないもとする」とされています。
双方、前提条件に落ち度がなければ、賠償責任がないというのは分かりますが、なぜ、第三者が入るのか。第三者にはそもそも前提条件に係わる責任はなく、賠償責任は事案によっては双方に求めることが想定できます。第三者、つまりこの間のケースでは学校法人やテナントなどですが、その関係者への賠償等の責任の所在が不明確であり、自己責任ということもありえる、若しくは市が賠償を問われることを意味すると考えます。
結果として協定が成立しなかったわけですが、だからいいという問題ではありません。いかに市が非公開の中で将来50年間もこの計画に縛られ、市民の立場で変更したくてもできない、そういう市民への不利益につながる協定を認め、契約へ進めていたものであり、ここに反省がないまま、市長いう複合施設建設という姿勢はとうてい認めるわけには、いきません。お聞きをしますが、
- まず、担当レベルの協定案であっても起案紙も決裁もない、これは公文書管理規定などに照らしてどうか、当たり前の事なのかお聞きします。総務部長にお聞きします。
- 繰り返されている協定案の追加・修正は事業者(優先交渉権者)との協議や働きかけがあったのか、商工観光部長にお聞きします。
2問⇒ 議会冒頭、市長説明では「民間事業者に対する意向調査」を行なうと発言されましたが、
3、若者の政治参加について
若者の政治参加や投票率の向上は、誰もが願うものとなっています。
この間、県・市それぞれ選挙管理推進委員会の皆さんが、若者と議員との懇談会や街角での投票行動アンケートなどに取り組み、選挙への関心を高める努力をされています。
この取組みに係わってきた方にお話を伺うと「選挙に行きますか、との問いに若者を含め8割の方が投票すると答えてくれる。けれど、実際の投票率は3割、4割、若者にいたってはさらに低い結果になる。」と話します。また、投票に行くと言った若者との対話では「行こうと思うけど、候補者を知らんとか、若者の政策がないとか、結局、誰に入れるかとなると『わからない』と答える若者が多かった」と聞きました。
なぜ、若者の投票や政治参加が進まないのでしょうか。若者に聞いて見ると「押し付けられ感がある」と言います。他には「政治や選挙もわからないのに必ず選挙に行こう、日本の未来を支えるのは君たちだと言われても強制的に感じる」という声もあります。 大人の方にも若者に関心がないのは「若いから仕方がない」的な見方をする人もあります。それは若者の本音や置かれている実態を知らないからではないでしょうか。無関心の様に見える中にも政治や社会に対する意見があります。例えば「学費が高くて大学には行けないかも知れない」「仕事するには都会に行くしかないのかな」「なんで、テストばっかりなの」「学校では政治的な話はできない雰囲気があるよ」などなどです。
若者が得ている情報の多くはネットやテレビからで、好きな情報しか入ってこない環境でもあります。だからこそ、特に子ども達に近い学校教育の現場が政治に関する情報を補う場として、もっと役割を果たしていく必要があると思います。しかし、現実は「政治的中立」と言う言葉のもとで、政治や社会を考える場を与えることになっていません。
なぜ、そうなってしまっているのか。2015年、第二次安倍内閣の下で文部科学省は「教員は個人的な主義主張を述べる事を避けるよう」通知を出しているからです。学生に対しては、通知で校外での政治活動を認めてはいますが、それは休日や放課後であり、届出を求めることまで推奨しています。この様に若者の政治や社会運動への参加は非常に限定されてきました。つまり、国や政治によって、制限されていると言う事です。
しかし、世界は違います。温暖化問題の社会運動家のスエーデンの高校生、グレタ・トゥンベリさん16歳は、毎週金曜日に気候変動対策を求める「学校ストライキ」を続けました。その共感と連帯行動は今や日本を含め全世界に広がりを見せていますが、その事がノーベル平和賞の候補に押されることになったとも言われています。
スエーデンのグレタさんや他の国の学生の様に、高知市の子ども達が学校の内外で政治参加や社会問題のために行動したときは、市長には「よく頑張ってるね」とぜひ、言って頂きたいと思います。
かつて、女性も政治参加は禁じられ「女子の本分は政治ではなく、家庭」という考え方に押し込められてきました。しかし、男女同権、政治参加の平等性が社会的に問われ、多くの女性たちが声をあげる中で、女性の参政権も認められてきました。その代表的な運動の発祥の地が、この高知市です。(楠瀬キタさん達、女性)
現代の若者が置かれている状況も非常に似ているなと思います。文部科学省の通知は、人権の歴史にも逆行するもだと思います。そこで、お聞きしますが、
- 人権の歴史に学ぶならば、政治や社会活動への参加を喜び、その環境を若者にも保障していくことこそ、行政や政治の果たすべき責任ではないでしょうか。また、国や県の教育行政に対して市長が、この通知の問題性を指摘し、改善を求めることができないか、市長にお聞きします。
4、ハラスメント対策について
ハラスメント問題は深刻になっています。市においても加害者に対して、一部では行政処分などの対応がされてきました。しかし、問題発生は後を絶ちません。ハラスメントが、いかに大きなダメージを与えるか、個人の可能性を踏みにじり、組織にとっても大きな損害となることの事実をもっと真剣に考えて欲しいと思います。
公務員の場合は人事院規則に基づき処分の判断や対応がされていますが、その人事院規則には「被害者がノーとは中々言えない気持ちへの配慮が必要」と明記されています。
実際、本人が名前を名乗れないケースもあります。その場合の対応について、市は第三者からの情報提供があれば雇用主として一定の調査や対応はされてはきたと思いますが、中には匿名であることで、問題が軽視され十分な調査や対応がされていないことがあります。この間、市が公表しているハラスメントの事例で、本人の告発があっているけれど、適切な対応がされず、加害者と被害者が同じフロアーで仕事をしなければならない問題が起きていました。被害者の方は「臨時職員という身分だから軽く扱われていると感じる」と話していました。この場合、処分や対応に不服があっても制度上、被害者は裁判を起こすしかないと説明を受けています。
この状態でいいでしょうか、雇用主である市には、臨時職員さんやこれからの会計年度職員さんも含め、全職員へ対応は、公平な条件のもとで行って欲しいと思います。
例えば、沖縄県・浦添市では職員ハラスメント防止等規程を設けています。設置理由は「良好な職場環境の確保、職員や臨時的任用職員及び非常勤職員の利益の保護及び職員の勤務能率の発揮を目的とし、ハラスメントの防止及び排除のための措置、並びに当該行為に起因する問題が生じた場合に適切に対応するための措置に関し、必要な事項を定める」と、独自のルールを整備しています。
- 市のハラスメント対応の透明性や公平性を確保する意味で、また複雑なケースがある現状からも専門家が入った形の第三者委員会の設置が必要だと思います。また、被害者がしっかり受け止めてもらえることや自己責任ではなく仕事や健康、生活の権利が回復できるような被害者支援策は特に必要です。
実効性をあげるために、他都市のように、条例や規則なども含め、市独自のルールなど対応策を検討できないかと思いますが、市長にお聞きします。
そもそも、ハラスメントがなければ、健康に働き、最大限の能力を発揮できたであろう職員が正規・非正規、問わず、いまだ苦しんでいます。ハラスメントにより奪われた生きがいや家族との生活を思うと被害者への支援は重要な問題であり、雇用主の責任を求めておいきたいと思います。
5、財政運営、行革について
財政の健全化というのは永遠のテーマです。どんな時代も、どんなリーダーの下でも「財政が潤っています」なんて話しはありせん。市民のために働いても、そうでなくても予算は足らないのが行政の常ではないでしょうか。 高知市も収支不足が100億円を超えてあるとしていますが、問題なのはその『厳しさ』とは、何によってうまれているかです。
市民にとって無駄なことはないのか。しっかり見て欲しいと思います。
市はどんな手法で市民の暮らしを支える予算を確保していくのか、貧困や格差は確実に広がっている点からも、それに向きあう予算になっているのかが、問われます。
予算には、限界があるからこそ、何を優先するのか、何を削るのか、その考え方、次第で暮らしや地域の経済も変ってきます。
特に心配をするのは国の自治体を縮小させる流れの中で、どう市民の暮らしを守り発展に繋げる運営をするかです。政府は新たに「2040構想」という名で平成の合併とは違った形、例えば広域化や民営化といった手法で自治体の縮小と正規職員の削減を進めるとしています。市長は選挙後の記者会見で「水道事業の広域化」また「地域窓口センターの民営化」を検討対象にしていると発言しました。本当にその手法が必要なのか、十分な議論が必要です。
水道事業の広域化について心配されるのは、国がねらっているのは企業のための民営化、それによる職員削減です。しかし、災害が多発している現状からも、また南海トラフの地震を想定した復興体制を持たなければならない自治体にとっては命の水を供給するための技術職員が減るということは、なんとしても止めなければならないと思います。
この間、技術系職員はその確保が難しくなっています。
総務省の資料では全国の自治体の内、約3割は技術系職員がいない状況に陥っています。1998年と2017年の比較では土木職員及び農林水産業担当の地方公務員が激減しています。市町村の土木系職員は約26%減り、農林水産業では約38%減っています。
高知県内の上下水道局の技術職員の実態はもっと酷く、高知市など一定規模の自治体以外は技術職がいない状況となっています。市においても技術系職員の欠員数は全体で19名、その中で上下水道局は現在、欠員は9名、この状態が続いているといいます。
平成28年に国は県を通して市町村に対し「市町村等の水道事業の広域連携に関する検討体制の構築整備等について」という通知をだしており、その中で水道事業の企業団化、事業統合、経営一本化、管理事務等の一本化を検討するよう求めていますが、本来は災害対応や日常の管理・修繕が迅速にできる技術職員を適切に配置することへの後押しを国や県はすべきであり、現状、人材を育てる事も難しくなっている自治体に対し、簡単に「広域化」進めよという流れは本末転倒だと思います。
- 市長の言う、水道事業の広域化とは、どういうものか、国・県のいう「広域化」と違うのか。また、上下水道局の技術職員の欠員実態からも広域化はできないと思いますが、認識をお聞きします。また、市全般における、技術系職員の確保をどう進めていくのか、市長にお聞きします。
地域の窓口センターの民営化についてもリスクの方が大きいと思います。現時点で、すでに非正規化は進み、コスト的にはギリギリに抑えられています。その上、市民の個人情報を取扱う事へのリスクや民営化になれば、民間の職員に市は指揮命令できなくなるという偽装請負の問題も発生してきます。災害対応と言う面でも、すでに合併によって旧役場、支所の職員が地元のことが分からず、災害対応が迅速にできないなどの問題が起きています、災害対応面からも、これ以上の民営化は、さらなるリスクを背負うことになると思います。
- 市民に一番近く、行政のあらゆる役割を果たすことができる現場を民営化することは、あまりにも乱暴ではないでしょうか。民営化は避けるべきと思いますが、市長の認識をお聞きします。
6、温暖化と災害対応について
12月2日スペインマドリードで、COP25、温暖化対策を話しあう、国際会議開かれています。気候変動による災害が日本だけでなく世界中で起き、後戻りできない危機への対応が強く求められています。特にCO2削減はまったなしの課題です。各国の取組みはもちろん、市民レベルでの行動も問われています。2015年に採択された地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」は2020年から運用が始まります。
これにどう向き合うか、市町村の取組みも重要になっています。
経済文教委員会で視察に行った横浜市では温暖化対策を積極的に取り組んでいました。
SDGs(持続可能な)未来都市をつくろうという考えの中で、脱炭素社会を目指していると言います。市議会側も「持続可能な脱炭素社会の実現に関する決議」を採択し、全会派が一致した取組みとなっています。人口372万人の大規模都市でありながら地球温暖化対策を重点化し、新たな部局を立ち上げている点からも本気度が伝わります。温暖化は農業、防災、環境、産業にも影響しているからこそ、高知市でも新たな取組みが必要ではないでしょうか。横浜市は将来的に生み出せる再生可能エネルギーのポテンシャル(可能性)は都市化が進んでいる影響もあり現在の消費量に対して10%程しかないと試算し、その上で東北12市町村から広域的に再生エネルギーを調達しています。「送電線」の問題もあるようですが、関係する自治体と協力して国を改善へと動かしていると聞きました。
気候変動による、気温上昇や豪雨災害などへの対応は、地球規模の課題ではありますが、横浜市は市長の強いリーダーシップのもと、できるか、できないかではなく「地球を守ることに力を尽くす」という認識のもと進めてきたと言います。この考え方や取り組みは企業でも強まっており、その環境整備は必要な流れとなっています。横浜市が行った調査結果では、脱炭素社会を目指す方針や再エネが調達できる環境は企業誘致、中小企業の経営維持の上で有力な選択しとなっているとの話でした。
- 高知市のCO2削減の取組みは現在、策定されている「高知市・新エネルギービジョン」に基づき、エネルギーの地産地消や再生可能エネルギーの生産と活用を進め、低炭素社会を目指して行くとしています。
この流れを、危機的な温暖化問題に合わせて「低炭素」から、横浜市の様に脱炭素社会を目指すという方針にグレードアップできないかと思いますが、市長の決意をお聞きします。
2問 ⇒ 前回(2018年)の改定は2015年COP21「パリ協定」の動きなども考慮されている。
ビジョンの中でも方針を見直すことはできるとされている。
日本では今年は関東・北信越を襲った豪雨、昨年は西日本も集中豪雨により、甚大な被害を受けました。台風だけではなく、気候変動による災害が多発し、まさに「災害時代」となっています。
地震・津波だけでなく、豪雨や土砂災害が頻繁に起きている状況は、もう「想定外」ではなく「想定内」としての対応が求められていると思います。自治体の政策や政治のあり方、次第では被害を拡大、長期化させることもあれば、反対に被害を抑え、復興までの期間を短縮もできると思います。
そこで市の都市計画のあり方を問いたいと思います。昭和40年代以降に人口増加と合わせて行われてきた土地開発は、森林や田畑の面積を減らし、結果として豪雨に耐えるはずの「保水力」を奪ってきました。
この緑が減るということは温暖化を進めることに、つながっており、改めて緑の保全が重要となっていますが、市は現在の都市計画マスタープランに従って、緑地の廃止、縮小を進め、貴重な森林が壊されることにもつながる住宅の建蔽率や容積率の緩和を行う都市計画の変更を進めています。
現在、その問題が起きている地域は、福井、長浜、大津、やえもんです。都市計画審議会の委員でもありますので、この間、各地域の説明会にも参加させていただき、住民のみなさんの声を聞いてきました。緑地の廃止や縮小問題がある大津や、やえもん地域の説明会では共通して「災害が頻発するなか、緑地がなくなっていくのは災害のリスクを高める」との意見が出され、また大津では、たかまのはら古墳群や高間之神社もあり、大津村当時から住民が大事にしてきた森であると、心配の声がいくつか出されました。
また先日、開かれた都市計画審議会では、福井・長浜地域での建蔽率、容積率の緩和についての審議があり、委員からは「長浜の都市計画変更エリアのとなりには33番札所の雪蹊寺などがあり、大事な森として残ってきた場所、さらなる宅地化は急ぐべきでない」と反対する意見が出されましたが、賛成多数で議決されました。
本来は宅地資源であるはずの空き家が活用されず、居住人口が中心部で空洞化している事にこそ、手立てをうち、資源を活かした、居住政策をとるのが公務の役割だと思います。
- 災害リスクを高め、歴史や文化的な場所、自然環境を壊す事に、つながる流れは方向転換していく必要があります。例えば、長浜では地域振興計画が進められていて、雪蹊寺を含め歴史を活かした事業が提案されていますが、このような取組みに資するように自然環境を残していく取組みをして頂きたい、例えば緑地指定、地区計画などもできると思いますが、所見をお聞きします。また今後、都市計画、全般においては緑地を守り、増やす事を強化していく方針や目標をもつべきではないでしょうか。都市建設部長にお聞きします。
2問 ⇒ 関係部局との連携が不十分ではないか。 住民への説明ももっとすべき問題だと思うが。
長浜の地域振興計画に取り組んでいる総務部は知っていたか。
災害復旧等には国費や県費からの支援がありますが、この間、急増する災害や公共施設関連の長寿命化に対応するための市単独予算の割合が急増しています。結果として、市単による改良事業では対応する為の予算が確保できず、区画線や転落防止策などの交通安全施設整備は5年待ち以上も当たり前となっています。
国は公共施設の適正管理の推進のために、平成29年~令和3年の5年間の公共施設等適正管理推進事業債という起債制度を設けており、市も積極的に活用しているとの事ですが、長寿命化事業などでは約38%の交付税措置があるという点、活用を広げるメリットがあると思います。一方、公共施設の集約化にも使える側面があり、施設の統廃合を助長させる危険性もあります。運用にあたっては市の考え方が重要になりますが、
- この起債制度の使い方では集約化には使わず、純粋に長寿命化などに資する範囲にするとともに、長寿命化については、さらなる活用を図り、一般財源を確保することで、交通安全施設整備などの市単事業の予算の増額が図れる様に、つなげて欲しいと思いますが、今後の対応について財務部長にお聞きします。
7、教育行政について
子ども達にとっての学力や生きる力とは何か。個を伸ばす教育となっているのか。
先生達が専門職として、その能力を活かしきれる環境だろうか。保護者にとって学校が心から安心して相談ができ協力し合える場所となっているだろうか。テストの点がいいことが、子どもの人生の幸せなのだろうか。この間、多くの立場の市民から教育に対し疑問の声が寄せられてきました。
今、学校現場でも働き方改革が叫ばれていますが、先生が足らない中で、学力テスト対策やいじめ、不登校への対応、授業以外のいろんな事に追われる状態が続いています。
先生が保障したいと考える学びを追求し、子どもたちのつまずきや相談にも応える環境にない現状からは「息苦しさ」しか、うまれないと思います。
特に多すぎる学力テストによって起きている競争的環境は、子ども達から子どもとして感じて欲しい「ワクワク感」を奪い、楽しい、発見のある学校から、いじめや不登校が増える学校になっていると思います。
日本政府は国連から「高度に競争主義的な環境が過度なストレスを生徒に与えており、自殺、不登校、いじめなどの深刻な問題を生んでいる」と3度に渡り勧告を受けていますが、それでも改善をしようとしない、行動も起こさない。その中で要因は色々ですが、10代の自殺率が増える日本となっています。高知市においても、子どもの数が減っているのに、いじめや不登校が増える傾向があり、市議会も党派を超えて対応を求める声は強くなっています。しかし、市教委は国連の指摘について会議で質問した際「高知市には国連の指摘のような状況はない」と答弁をしました。実態を認めない、酷い認識だと思います。
不登校になった子ども達の声には、学校を工場の様だと語った生徒がいます。また、先生から「時間をかければいいものは出来るが、効率的にする事を社会は求めているんだ」と聞かされた生徒もいます。学校が人として豊かに感性を養える場ではなくなっていると思いました。
今回の知事選挙では教育行政のあり方が大きな争点ともなりましたが、その改革を政策提起してくださった一人でもある、現在は土佐町の町議で教育研究者、元教員でもある鈴木大祐さんにお会いし、これからの高知の教育への期待や改善するべき問題など、お話する機会がありました。鈴木さんは著書の中でも「「学習効率競争での成績や順位が、そのまま進むべき学校と将来、属する人生分野を決定する様になっている。これでは子ども達の『どう生きるか』という人間にふさわしい目的意識を内面から鍛え、かつ育てることは難しい。その結果、『目当てのない欲求不満』が一層、増幅されることになる。不登校、登校拒否、いじめ、非行などなど、あらゆる現代の青少年の行動の背景には、何を求めたらよいのか、又何を相手として抵抗したらよいのかが見通しかねる。人間という動物にとって、最も底の深い不安、苦悩があるように考えられる。」と話しています。
学力において、過度な競争主義的環境をつくっている学力テストへの警鐘であり、改めて学力テストのあり方は見直される必要があります。
- 高知市は日常の単元テストとは別に国・県・市版の3つもの学力テストを行っていますが、これが子ども達への過度なストレス、問題行動の原因になっているとの認識はないのか、お聞きします。また、県に対して県版の学力テストの廃止を求め、その予算で教員の増員を求めて欲しいと思います。その上で、市としても学力テストの見直しや不登校への対応をもっと進める必要があると思いますが、教育長にお聞きします。
2問 ⇒
教員を増やさず、英語の教科化や学力テスト万能論で放課後、休日の補修の強化、これだけをみても、時間が足らない。どこかに、しわ寄せが現れます。例えば、小学校6年では全国一斉学力テストが行われるため、小学校5年生の後半に、学テ対策の為に宿題が増え、授業時間も切り詰めないといけなくなると聞きました。
実際、学校現場にうまれている影響について、市教委の調査で分かった事は「高知県・美術教育総合展」がありますが、市内の4つの小学校がこの展覧会への作品の出展を止めたといいます。理由は小学校で必須科目となった英語の授業時間を確保する為など、全体の時間の調整の中で、学校が判断し絵を描く時間を削ったと言います。
- 時間がない中で、絵を描く時間を削らなければならない、このような状況に追い込まれている学校現場に実態について、個を認める、個のあらゆる可能性を育む教育とは、ほど遠い環境だと思いますが、市教委はこの状況をどう認識されているのか、目指すべき公教育とは何か。その認識を教育長にお聞きします。
次に、市内に知的障害特別支援学校を設置する動きについて伺います。
市内の知的障害のある子ども達の多くが市内の受け皿が不足していることから、通学に苦労しながら、また住み慣れた地域をはなれ、日高や土佐山田に通っています。新たな学校整備は長年の課題でしたので、今回の設置への動きは大きな前進だと思います。一方で、知的障害特別支援学校の市内設置を求める保護者や教員から構成される運動団体は100人規模で寄宿舎と専門性のある学校整備を求めて来ました。その点から見ると、検討委員会のまとめは40人~50人規模で寄宿舎はありません。理由はスピード感をもって取り組むことが優先されたと聞きます。
- では、整備期間について、スピード感もってというは、何年の以内の話しなのか、検討委員会の委員でもある教育長に伺います。
- スピード整備が優先されてはいますが、あり方の提言には、「設置場所によっては通学困難者を出さないように検討する」という文言や「本対応終了以降においても、各特別支援学校の老朽化の状況も見ながら、将来的に知的障害特別支援学校の配置や再編等について検討を求める」とあり、関係者が求めてきた、学校規模や寄宿舎の意義がシャットアウトされてはいないと受け取れます。この点について、今後、改善される可能性はあるのか、教育長にお聞きします。
- 今後、県に対しては、専門性の確保の意味からも規模や寄宿舎について、当事者や学校現場の皆さんが求めている声をしっかり聞いた上で、働きかけを続ける責任があると思います。市教委の認識と対応を教育長にお聞きします。
8、国保について
国保の基幹的運営の責任は都道府県に単一化されました。保険料の設定や徴収業務は市町村が行うものとされていますが、ここで問題になってくるのは市町村が独自に行う減免制度などが、どこまで認められるのかです。
高知市は県への単一化がされる前から、子どもがいる世帯への減免を議論してきました。それが、今後どうなるのか。高い国保料に苦しむ市民から注目をされているところです。
子ども一人に付き約3万円の均等割りが係ります。これは少子化対策に逆行するもので、県は各市町村がこの取組みを選択できるようにすることが役割だと思います。国は都道府県に対して、市町村の特別な事情に応じて、特別調整交付金を全国規模で100億円交付するとしています。例えば20歳未満、子どもの被保険者が多いことによる財政的影響の緩和や精神疾患などで市町村の責任に負わすことのできないものに使えるとされています。つまり、子育て世帯の負担軽減にも使えます。
県に交付されるものであり、どの範囲で、どう配分するかで市にも影響してきます。すでに、他都市では約25自治体が子どもの均等割り減免を始めています。例えば、北海道の赤平市は今年度から子どもの均等割りを全額免除としています。高知市でも早急に取り組んでいく問題だと思いますが、
- 市として、子どもの均等割り減免について県と、どういう話をしているのか。市として減免制度をどう進めるのか、健康福祉部長にお聞きします。
9、子育て支援について
2013年に策定された「子どもの貧困対策推進法」が今年6月に改正されました。それに伴い、今後5年間の支援方針である「子どもの貧困対策大綱」の見直しも行われ、11月29日閣議決定されました。大綱は子育てや貧困を家庭のみの責任とせず、子どもを第一に考えると強調し、親の妊娠期から子育て期まで、切れ目のない支援で、全ての子ども達が夢や希望を持てる社会をめざすとの理念を掲げて、貧困の実態把握の指標を25項目から39項目に増やしました。
しかし児童手当や低所得のひとり親家庭への児童扶養手当の増額など具体的な生活支援策は盛り込まれず、数値目標の設定もされていません。首都大学東京の阿部彩教授が「やって当たり前のことを書かないでほしい。改善する手段がほとんど入っていない。」と実効性が乏しいことを指摘するなど、支援団体や有識者からは落胆の声が上がっています。
市町村でも「子どもの貧困対策計画」の策定が求められますが、本市は、「第二期高知市子ども・子育て支援事業計画(案)」の中に書き込むとし、11月25日に開かれた「高知市子ども・子育て支援会議」で議論がされ、最終案を取りまとめ中とのことです。しかし、会議で示された「支援事業計画(案)」を見る限り、新たに就学援助の入学準備金の前倒し支給があるものの、子どもに特化した新たな制度は見当たらず、ほとんどが今ある困窮者などへの支援制度の利用や「子ども食堂」、「放課後子ども教室」など、地域住民やPTAなどボランティア頼みの支援のように見受けられ、国同様に数値目標も示されないとのことです。これで本当に、本市の子ども達が「夢や希望を持てる」高知市になるのかと言わざるを得ません。
岡崎市長は中学生までの子どもの医療費無償化について、4期目当初には目処をつけたいと答弁されましたが、5期目の公約には掲げられていません。いまや、子ども医療費助成が小学校までの自治体は県内では高知市だけになり、子育て世帯の方が近隣自治体に住居を構えるという話をよく耳にします。また、政府も国会答弁などで、保育無償化に伴い浮いた財源を子育て支援に活用するよう明言しています。
- 本市の計画に、市の積極的な努力として、子どもの医療費助成制度の拡充を掲げる必要があるのではないでしょうか。市長にお聞きします。
日本の子どもの貧困率は7人に1人と言われ、以前として高い水準にあります。夏休み期間中に学校給食がなくて、新学期には痩せて学校にやって来る小中学生も少なくないという実態は、本市でも耳にします。
発達・成長過程の子ども達の貧困、格差の広がりは、子どもだけでなく、どの世代にとっても大きな問題であり、こんな現実をいつまでも放置して、よいはずはありません。
学校給食は教育の一環として実施されていますが、憲法26条「義務教育は、これを無償とする」との規定がありながら保護者に負担が求められてきました。政府は約70年前に義務教育の無償をできるだけ早く、広範囲に実施したいとして、「学用品、学校給食費などの無償も考えている」と答弁しています。昨年12月には、日本共産党の吉良よし子参議院議員が、当時の認識を現政府が継承していることを確認し「国の責任で学校給食の無償化を」求めたところです。
高知市では子ども一人当たり、毎月約5000円かかります。年間にして約55000円前後が保護者負担となっています。例えば、兄弟が3人なら年間約16万円を超えます。文科省の調査では76自治体で小中学校とも給食の無償化を行っており、424の自治体では一部を助成しています。
また、その中には、定住移住政策として給食費の負担軽減を行なうところも増えています。
- 市長は一般社団法人「生活困窮者自立支援全国ネットワーク」の代表理事でもありますので、あらゆる機会を活かして、ぜひ、国に対して給食費の無償化を強く求めていただきたい。
そして、本市としても給食費への助成を考えていく必要があるのではないでしょうか。市長に伺います。
Comments