誕生と廃業
日に日に日差しが熱くなる、汗がにじむ初夏だ。
地域を回ると新しい鯉のぼりが揺れている「赤ちゃんが生まれたんだ」と嬉しくなった。
その道の先を進む、ある工場の社長がハガキを2枚見せてくれた。取引先の印刷屋さんが廃業する挨拶。
社長は「うちも廃業同然よ」と大事な機械を見せてくれた。歴史ある店を閉じるという事が、どれほど辛いことか。そういう思いをしている人が沢山いるのだ。
「なんぼ、コロナが終わる時が来るいうても、この歳で借金はもうできん」と店主の多くが口をそろえ話す。
国に守られてきた大手大企業は安い賃金、儲けを求め海外に生産拠点を移した。グローバル化の名で安さ競争の激流にさらされた中小企業は今も氷河期だ。「メイドインジャパン」と誇りだった日本の伝統、先見的で精密な「技術」も後退を続けてきた。救済もせず、この流れを進めた政府が今さらに経済成長できないと嘆く姿に冷酷無情を感じる。追い打ちをかけるコロナ禍で、私たちが見ているものは何か。
生まれくる命に「希望」の社会をつなぎたい。
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