入管法改正と難民支援を求め討論に立つ!
入管法 9月30日 市議会採決結果 賛成11,反対21(自民系、公明会派など)
市議第25号、「入管法の改善と難民支援を求める」意見書に賛成の討論を行います。
在留資格がなく、本国で人権侵害を受けるおそれがある等の理由で、帰国できない外国人が入管施設に不当に長期間収容される事が社会問題になっています。
昨年8月、名古屋の入国管理局に収容されたスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが収容中に体調を悪化させ、求めた点滴や治療も受けることができず、死亡する事件が起きました。
遺族は一部情報開示された資料などから「姉は犬のように扱われた」と話していますが、亡くなった経緯が明らかになる中で命や人権への配慮を欠く、入管の異常な実態が浮き彫りとなりました。
現状の入管法の大きな問題点は、日本を訪れた外国人は、入管から疑いをかけられれば収容され、その疑いが晴れるまで出ることができず、収容については法律上に明文もなく、全て入管の「裁量」で行われている事です。
今年の2月、政府が出してきた入管法改正案は、収容目的、期間の上限、司法審査などにおいて欠陥があり、審議の続行はできない世論と国会情勢となり、5月、菅首相は法案審議の先延ばしを決定しました。改めて、十分に人権を踏まえた法改正が重要になっています。
高知市においても他人ごとではありません。
今年4月の相談で、市内北部エリアに暮らす市民の方から、「ベトナムから来た技能実習生が行方不明になった、とても優しい青年で日本語はあまり喋れないが挨拶もでき地区のお手伝いもしてくれた青年だった、私たちは心配している」との話でした。県を通じ、高知を所管する高松の入国管理局に今後の対応をお聞きしました。説明は技能実習生として入国許可が出されている場合はその期限を過ぎると不法滞在扱いになり、在留許可がなく、見つかれば入管に収容されます。
つまり、名古屋の入管で亡くなったスリランカ人女性と同じ扱いを受ける可能性が高いという事です。これは氷山の一角です。
現在、不法滞在となっている外国人は、全国で8万2868人、高松の入国管理局においては2020年、昨年度の難民認定の受理件数は4件、不受理が2件、調査中が2件。また強制送還は21件あったとの事です。高知でも外国人の方が懸命に働いていますが、その多くは技能実習生です。
高知労働局のまとめでは、昨年の高知県内の外国人労働者は3473人。前年比で10・6%増え、技能実習生は12%増加し2209人、2年連続で全体の6割超を占めています。
外国人を雇用している事業所も7%増加し、885カ所で過去最高を更新していますが、労働環境や処遇の悪さから不法滞在に陥るケースがあります。
2019年の法務省の調べでは4280ヵ所の「実習生受け入れ機関」で失踪事件が起きており、失踪があった受け入れ機関が行っていた不正行為の実態が報告されています。書類の不備関係が全体の約47%ですが、残りの約53%は、残業時間等の不適正や時間外労働に対する割増賃金の不払い、賃金からの不適当な控除、契約賃金違反、最低賃金違反、人権侵害行為などです。つまり、失踪の原因の半数以上が違法な働かせ方であり、多くの技能実習生や外国人の方が、この日本で人権を踏みにじられ、生活に困窮し、身も心もボロボロにされているという事です。
そのような状況から逃れるため、失踪、不法滞在に陥るのが実態ではないでしょうか。
入管法の問題については、各社マスコミも報道しています。
今年9月17日、しんぶん赤旗は、入管行政の改善を求める学生「ボイス・アップ・ジャパン」のオンライン署名が7万7千筆を超え寄せられていると報道。8月13日の読売新聞の社説では「再発防止へ意識改革を諮れ」とし、与野党は速やかに法改正に向けた議論を進めてほしいと報道。8月11日、朝日新聞は社説で「入管の報告書、人権意識を問い直せ」とし、人権保障に軸足を置いた新しいルールづくりを急がなければならないと報道。5月16日、毎日新聞は社説で「入管法の改正案、一からの見直しが必要だ」とし、政府は人手不足を補う労働者として外国人を受け入れながら、待遇改善や雇用環境の整備は怠ってきた、背景にはこうした外国人政策がある、人権への配慮を欠く、外国人の受け入れ政策を抜本的に改めなければならないと報道。8月21日、高知新聞は社説で「入管女性死亡、人権感覚の欠如に驚く」とし、なぜ、適切な医療行為が受けられなかったのか、報告書は十分な内容とは言いがたい、法改正にむけては、入管施設で何が起こっているかをつまびらかにすることが前提となろう、再調査する必要があると報道しました。
人権を踏まえた法改正を求める世論は日々高まっています。
先日9月22日、東京高裁はスリランカ人男性2人が本国での政治的迫害を理由に難民申請していた問題に対し、入国管理局が行った強制送還は「憲法32条で保障する裁判を受ける権利を侵害した」として違憲と判決を出しました。
現状の入管法は、憲法に基づく司法審査の権利が明確に保障されていない為、入管側が男性らの訴訟を避けるために、あえて告知を遅らせるという問題が起き、結果、違憲と判断されました。まさに、法改正の必要性を示す重要な問題点です。
この間、日本政府は入管収容および難民認定制度について、国連の人権条約機関から再三にわたる勧告を受けてきました。2020年8月には「日本は難民認定申請者に対して差別的な対応をとることが常態化している、また、入管収容は恣意的拘禁にあたり国際法違反である」と改善と法の見直しを求める厳しい指摘を受けています。
よって、国に対し国連の国際人権基準に則った入管法の改正、及び難民支援を行うことを求めます。
各議員の賛同を求めまして、賛成討論といたします。
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