6月市議会 答弁と感想!
以下、個人質問の内容と市の答弁。☆は私の答弁への意見、思い。農林水産部の将来を見据えた、答弁は現場の農業者や林業関係者、市民を大きく励ます内容だったと思う。一方、国政に甘い市長の答弁や違法な行政処分の原因が過去からあるのに、たまたま的な健康福祉部の答弁もあった。
1、国政に対する市長の政治姿勢
① 物価高騰の中で年金の引き下げ、一方で岸田政権は軍事費の二倍化や改憲へと大きく舵をきっているが、怒りを感じないのか、言うべきことはないのか市長の見解を聞く。
市長=「『悪い物価上昇』が市民生活に大きな影響を及ぼしている、懸念している。また、国は骨太方針で経済活動の回復を目指すと方向性を示している、迅速に実行してほしい。」と述べる一方で、軍事費拡大や改憲については「防衛力を5年以内に抜本的に強化する議論が国会で始まっている」と答弁。
☆ 軍拡や莫大な軍事費、改憲について自身の考え含め一切の批判、言及がない。
市議会開会日、市長は国政と経済の動向に触れ、「悪い物価上昇になっていると指摘がされている」と説明し、これは他人の発言。市長自身の思いと言えば、質問戦の初日の答弁で「さらなる物価高騰を心配する」と答弁されました。しかし、「~指摘されている」や「~心配する」との市長答弁は国政への怒りが感じられない。今の物価高騰はコロナや戦争だけに起因しているのではなく、日本の輸出貿易優先の歪んだ円安政策、金融政策、国政と政治の問題。岸田首相はこの流れを踏襲すると発言。国民の苦しさを全く感知できない国政。声を荒げる必要はないけれど、市民や地方職員の努力をないがしろにする様な国政には「怒り」をもって答弁や発言、申し入れもして欲しい。
② 国の農政について、減反政策による転作への補助「水田活用交付金」を大幅カットする事に対し国に中止を求めるべきではないか、市長の見解を聞く。
市長=交付状況について、令和3年度は高知市再生協議会が5,012万4700円、春野再生協議会が1,849万4,713円(合計約6,862円)。交付金カットの影響について、飼料用米や加工米で経過措置があるものの影響を及ぼしている為、県が独自の支援を行う。また、交付金の要件見直しについて生産者の意見も踏まえ、より柔軟な経過対応を国に要望すると答弁。
☆ 明確な「中止」要請ではないが、国に交付金カットの内容の再検討を求める要望を約束。
2、市が行う物価高騰対策
① 農業分野での高騰対策について国、県の支援策に「農業用肥料」がない。市独自の肥料の支援を行う時ではないか、農林水産部長に聞く。
農林水産部長=国際市況価格が軒並み史上最高値まで上昇、国内では6月改定で25%~94%になる肥料がある。輸入調達先等の先行きが不透明であり価格高騰は止まらず、農家の大きな負担になっていると農業者や関係団体からお聞きしている。農業用肥料の高騰に対しては支援が急務であると判断し、高知市JAと春野JAと協議しており、臨時議会に向け準備していると、答弁。
☆ 農業用肥料に対し市独自に支援を行う、7月臨時議会へ提案を約束。
3、農林業振興
① みどりの食料システム戦略に関連し、小規模、家族農業を軸地にした有機農業の推進体制と出口戦略を次期農業振興計画にどう反映させていくのか、農林水産部長に聞く。
農林水産部長=2050年までに化学肥料の3割低減など環境負荷軽減のイノベーションを推進するもの。戦略への理解を生産者、消費者に広げ実効性ある支援策が必要。有機農業への理解を高める取り組み、生産技術の確立、地域ぐるみの組織化や産地化が図られた場合は大きな市場対応や学校給食への対応も可能となることから、生産者の皆様と検討する。「第14次高知市農業基本計画」において有機農業実践者や審議員の意見を踏まえ計画に大きく位置づけていくと、答弁。
☆ 市としても本格的に有機農業を推進する内容で次期農業基本計画に盛り込む約束へ。
地球環境を犠牲に儲ける時代から変わる時である、環境負荷の少ない有機食材の活用を進める為には、出口戦略は非常に重要。学校給食だけでなく、公共調達の基本的考え方の中に環境への配慮や有機食材を活用する視点も必要になる。また、有機農業者が増えるためには、自己責任ではなく意欲につながる農業政策こそ求めたい。地球環境と人に優しい農業、食べていける仕事、農業に皆で頑張る時と思う。
② 森林環境譲与税の活用を拡大させ、山の荒廃を防ぐ為の人材確保、雇用を創っていく為に何をしていくのか、譲与税の活用状況と合わせ聞く。
農林水産部長=森林環境譲与税の執行状況、配分額1億6,809万8千円、執行総額9,228面2千円で執行率54.9%、残りは森林環境整備基金へ7,582万円積み立てられている。森林情報管理システムの導入により整備の加速化を図っていく。高知県が公表する民間事業者で高知市を活動する事業者に拡大し林業従事者数の底上げを目指し、人材の雇用と育成に繋がる支援を行うと答弁。
☆ 森林整備に必要な人材育成にとどまらず、雇用にもつなげると積極的な姿勢が示された。
③ 竹林整備についても森林環境譲与税が活用できるようにすべきではないか、聞く。
農林水産部長=森林環境譲与税の事業対象は森林法第2条の但し書きで、里山などの放置竹林の除去に譲与税を適用することは可能とする、一方 で農地上の放置竹林の除去には適用できない。いの町が譲与税を活用し竹林整備している。高知市として事例を参考に里山整備を実施する事業者と森林所有者や地域住民の皆様とマッチングを図り、放置竹林の整備を検討していくと、答弁。
☆ 森林環境譲与税は里山の竹林整備の財源になる、いの町を参考に放置竹林の整備を検討すると約束。
4、生活保護行政
① 県が違法とした理由と母親及び専門家の意見や指摘を、どの様に受け止めているのか、今後、どう福祉行政を見直していくのか、市長に聞く。
市長=事務手続きの瑕疵により県から「廃止処分の取り消し裁決」を受けた。大変ご迷惑をおかけし改めてお詫び申し上げます。県は「現在地」が高知市にあったと判断、居住を失ったからと「実施責任」が無くなったとの判断は誤りだと指摘。今回の裁決を真摯に受け止め、保護決定の過程で手続きの瑕疵や判断に誤りがないよう、適宜、県とも十分に協議し、より慎重な検討を行い適切な保護の実施を図っていく。
☆ 当初、組織的判断であり法的にも問題ないと発言していた点からも、制度運用(現在地)の認識がそもそも間違っていたわけだが、瑕疵を強調し、組織的な認識の不十分さを明確に認めない姿勢が浮き彫りとなった。
② 市は今回の廃止判断を「法的に問題ない、組織的判断であり問題ない」と交渉で発言、つまり過去から正しいとしてきたわけだが、この判断はいつからか、行政処分に関わるチェック体制に問題はなかったのか、また是正内容について、聞く。
健康福祉部長=廃止の判断の際に「現在地」調査を実施し保護の要否判定を行うべきであったと反省。これまで住居が引き払われた事で、一律に保護廃止の判断することはしていません。ケース診断会議において手続きに抜かりがないか判断に誤りがないか慎重な検討し、受給者に寄り添った対応を心掛け、疑義が生じた場合は県とも協議を行うと、答弁。
☆ 過去においても市は「今回のような判断は一律にしていない」と言うが、ではなぜ、起きるのか。今回だけ起きた理由は何か、わからないまま。判断基準への認識と運用が違法だとされた点は非常に重大、その点に触れない答弁は問題である。重大性を認識していないのではないか。この様な認識と答弁については、専門家や県の見解も聞きたい。処分庁(市)は権力であるが、母親が記者会見で訴えたように「聞く耳が無い」態度や「現在地」への認識が違法な判断つくったとすれば、単なるミスではなく権限の乱用・逸脱でなかいかと思う。どんな市民にも生きる権利や人権がある。特に命や人権、権利に直接かかわる福祉行政の現場でこのような状況が起きたことを見逃してはならない。なぜ、聞く耳を持てなくなるのか、もしも、職員が過労や組織から大切にされている実感がないことで起きているならば、人事の面や体制の面でも市全体として注視し職員を大事にして欲しい。そのことが市民を大事にする事になるのではないかと思う。
5、教育行政
① 収束の見えないコロナ災害や戦争、20年以上、実質賃金は上がらず、非正規労働は増え、格差と貧困は拡大。文科省資料では、R2年度コロナを理由に大学中退者が385人、休学は2,677人、R3年度は中退者701人、休学が4,418人、ほぼ2倍。小中高生にとって身近な大学生が、学びも生活も成り立たなくなっている姿や身近な大人が食費を削り、生活費や学費の貸し付けに追われ苦しむ姿、どう感じているか。子ども達の補導件数が増加(倍増)、不登校予備軍と言われる「エスケープ」や犯罪に巻き込まれる可能性が高くなる「家出」が特徴的。単にコロナで学校や部活動がないから公園で補導されたというものではない、高知県警少年課の「気力のない子が増えている」との見解は大事な指摘。「エスケープや家出」の背景認識と支援の必要性について、教育長に聞く。
教育長=子ども達を取り巻く環境は多様。令和3年の補導状況は喫煙、怠学(エスケープ)が例年より多い。教育委員会が行ってきた具体的な取組みは、きまりを守る規範意識を根付かせるために非行防止授業として万引きをさせない防止集会をした。補導センターは居場所として、一対一で個別学習会支援を行い、学校、家庭と連携し進路保障につなげている。学校が組織的に相談体制を充実させることに加え、補導件数、数字の後にいる子ども達の想いに応える決意をすると答弁。
☆ 教育長は居場所づくりや相談体制のさらなる強化へ決意を示したが、一方、補導センターの見解「万引き集会をした」という答弁は質問の主旨からも明らかにピントが外れており、そういう認識で本当に多様化する子ども達の苦しみの背景が理解、対応できる体制になるのだろうかと驚いた。ある意味、この答弁の感想を現場教員や県警少年課、地域の関係者に聞いてみたい。特に、こどもの無気力に危機を感じる。子どもたちの負担とは何か。教育にできることは何か。希望や夢を描き進んでいく力を育むことは教育にこそ出来る事ではないだろうか。子ども達や学校の現状から、これまでの学力中心の競争と管理型の教育の総括と方向転換が必要と思う。新教育長のもと「モデルチェンジの時」ではないか、松下教育長の現場力と指導力に期待している。