92歳の夏を生きる
92歳の夏、人生を語る。地域を回る中で妻を亡くした、おじいさんに合う。
手すりを握り、少しずつ玄関にたどり着く。出てきてくれただけで感謝しかないが、「あんたに言わんといかん、今は戦前のようになっちゅう」と震える手で港の軍事利用はダメと署名をしてくれた。少年は1945年8月15日、ラジオから戦争の終わりを聞く。
「やっと戦争が終わる、これから良くなると思うた。けんど、あの時の気持ちを忘れたようやのう」と振り返る。
戦争が始まるころ小学校では、戦争万歳を習い、「連帯責任」の植付けなのか、なにか問題を起こすと生徒全員が向き合って並ばされ、お互いの鼻や耳をひねろと先生に命令される。「友達にそんなことができるか、まっこと学校が嫌やった」と言う。
集落で変わり者と言われた父と母は、少年をかばう。父は「戦争して何がよくなるか!」と話していたと言う。戦争中は嫌われ、中学校にも行けなかった。戦後に遅れて高校へ、自衛隊にも入って免許を取って全国の建築現場で働いてきた。忘れてはならない歴史がある。
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